AllianceBernstein アライアンス・バーンスタイン株式会社

knowledge openspace 知の広場

knowledge openspace 知の広場

米国利上げ-FRBはインフレ対策を最優先

                                                                                                                                                                     

Headshot1-Winograd_Eric.png
エリック・ウィノグラド
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
先進国マクロ分析-ディレクター
 
 
 
  
 

2022年6月23日

 
米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年6月15日に基準金利を75ベーシス・ポイント引き上げ、1.50%から 1.75%のレンジとし、今後さらに強力なインフレ抑制策を打ち出すことを示唆した。このタカ派の政策方針は最終的にインフレを抑制するだろうが、FRBが予想する以上に経済成長面での犠牲を強いると思われる。金融市場はしばらくの間、不安定な状態が続きくだろう。
 
パウエルFRB議長は、6月の利上げ幅を50ベーシス・ポイントとする可能性を示唆していたが、事前のメディア報道で75ベーシス・ポイントの利上げが指摘されており、市場は積極的な利上げを織り込んでいた。パウエル議長は、最近のインフレ数値とインフレ期待の高まりを、以前の示唆を上回る利上げ幅としたことの主因として挙げた。今後の利上げ幅は今後の経済状況次第としつつ、7月には50または75ベーシス・ポイントの利上げが適切となる可能性が高いとも指摘した。
 

FRBはインフレとの戦いに本気だ

FRBの行動と発言は、政策目標がインフレ抑制に的を絞っていることを示している。連邦公開市場委員会(FOMC)は、「ドットプロット」の中央値に基づいて、2022年中に合計で1.75%の利上げを行い、目標金利を3.25%から3.50%に引き上げる予想を示している。
 
これは、3月時点のドットプロットに基づく予想より150ベーシス・ポイント高い。委員会はまた、利上げの到達点の中央値を3.75-4.0%に引き上げ、これも3月の予想を100ベーシス・ポイント上回った。FRBは明らかにインフレの幅、大きさ、持続性に動揺しており、それに応じて金融政策を明白に引き締め姿勢とした。当然の帰結として需要を減速させていく。 
 
パウエル議長は、FRBの最優先事項はインフレの沈静であることを強調した。彼は会合後の記者会見では「インフレがあまりにも高すぎる」という議論からスタートし、FOMCでは本来はこの時期にはインフレが横ばいか低下方向に推移していることを想定していたと明らかにした。依然として衰えないインフレに鑑み、政策対応はより積極的にせざるを得ない。FRBが「説得力のある証拠」(インフレ率の低下を示す一連のデータ発表)を集めるまで、インフレとの戦いが最優先となりそうだ。インフレ沈静の兆しが確認された時点で、FRBは経済成長とインフレの両分野によりバランスの取れた焦点を当てる方向に軸足を移すと思われる。
 

インフレ期待が高い限りは、さらなる利上げを想定すべき

7月に50または75ベーシス・ポイントの引き上げを行えば、政策金利は金融政策の観点でほぼ中立的とされる水準まで上昇し、その後は経済環境に応じた対応が採りやすくなる。
 
パウエル議長は、インフレがまだ高い場合でも、中立金利に到達すれば、政策対応を強いられる緊急性は低くなることを示唆した。早ければ7月にも中立金利に到達する可能性があるため、この姿勢はややハト派的とも受け取られかねない。しかし、「ドットプロット」に見るFRB理事の空気や、インフレ沈静の確認には経済統計の裏付けを必要とすると明言していることから、この発言は一般論にすぎないと取るべきだろう。政策対応余地があろうとなかろうと、FRBは当分の間、利上げを継続する。
 
パウエル議長は、インフレ期待がFRBにとって重要な圧力となることを強調した。特にミシガン大学のインフレ期待指数と米連邦準備理事会自身の基調的なインフレ期待指数に言及し、6月の引き上げ幅が想定より大きくなった理由として述べた。パウエル議長は、インフレ期待が上昇に転じれば、さらなる引き締めの引き金になる可能性が高いことを明らかにした。
 

インフレとの戦いの反動は経済成長減速として跳ね返ってくる

より急で前倒しされた引き締めサイクルにより、経済成長はこれまで考えられていたよりも速く、より深く冷え込む可能性が高い。FRBの2022年と2023年の国内総生産(10-12月期の前期比ベース)の成長率予想の中央値は1.7%である。この数値は、中央銀行が推定する長期的な潜在成長率を0.1%下回っている。また、失業率は現在の3.6%から年末には3.7%、2023年には3.9%、2024年には4.1%に上昇する。
 
パウエル議長は、FRBがマクロ経済に描く予想の姿を「ソフトランディング」、すなわち成長率が潜在成長率をわずかに下回り、インフレが抑制され、労働市場が堅調に推移することであると説明した。同時に、この結果を達成することが難しくなっていることを認めている。FRBの政策手段ではサプライ・チェーンを含む経済の供給サイドの問題を解決することはできないため、ソフトランディングはますます外部環境に依存する状態だ。供給サイドの正常化がなく、インフレ率がすぐに低下しないのであれば、FRBは米国経済が弱体化しても引き締めを続けなければならなくなる。
 
経済成長はFRBが予想する以上に鈍化するリスクが高い。FRBが打ち出した引き締め路線と、FRBが安心できるほどのインフレ率までは当面は低下しないとの見方を合わせると、今後さらに引き締め政策が続くと思われる。最終的にインフレ率を抑えることは可能だろうが、その代償として、経済成長率が低下しやすく、その間の金融市場のボラティリティは高止まりしやすいだろう。
 
 
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2022年6月16日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@alliancebernstein.comまでお寄せください。

運用サービス

  • 債券
  • 株式
  • マルチアセット
  • オルタナティブ
  • リスク抑制
  • リターン追求
  • 更なる分散

アライアンス・バーンスタイン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号 
【加入協会】一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会
https://www.alliancebernstein.co.jp/

 当資料についての重要情報

当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。

投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。


お客様にご負担いただく費用:投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
● 申込時に直接ご負担いただく費用 …申込手数料 上限3.3%(税抜3.0%)です。
● 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
● 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.068%(税抜1.880%)です。

その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。

上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

ご注意

アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

戻る