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2022年下期の債券市場の見通し:市場の混乱は峠を越えたのか?

                                                                                                                                                                     

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スコット・ディマジオ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門共同ヘッド/クレジット運用 ディレクター
 
 
 
  
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門共同ヘッド/グローバル債券 ディレクター
 

2022年7月15日

 
 
2021年からの金融市場の混乱は、ここに至るまでに長い道のりを踏み越えてきたように感じるが、多くの投資家は、果たして厳しい局面の峠を越えたのか? という疑問を抱いている。そして、おそらく、峠は越えていないだろう。本稿では、高止まりするインフレ(以前の記事『インフレ率の上昇を債券投資はどうしのぐか』ご参照)、金利上昇、景気後退のリスクの高まり、信用収縮を取り上げ、このような厳しい局面を乗り切るための債券投資戦略を提示したい。
 

市場の問題はインフレに行き着く

インフレは投資家と政策当局の双方とって最重要課題である。物価は過去何十年もなかったペースで上昇を続けており、生産活動の再開によって物価上昇圧力が緩和されるとの期待を裏切っている。それどころか、中国のパンデミックによるロックダウンやロシアのウクライナ侵攻など、さらなる出来事が混乱に拍車をかけ、物価をますます上昇させている。
 
中央銀行はこれに対し、供給と見合った水準まで需要を減速させるために金融引き締めを行っている。本稿執筆時点で米国連邦準備制度理事会(FRB)は2022年3月以降、150ベーシス・ポイントの利上げを実施したが(以前の記事『米国利上げ-FRBはインフレ対策を最優先』ご参照)、道のりはまだ終わってはいない。英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの中央銀行も利上げを実施し、欧州中央銀行も7月に利上げを実施する構えだ。多くの新興国は利上げサイクルがかなり進んでいる。日本銀行と中国人民銀行だけが、自国の特異な状況により利上げから遠い位置にいる。
 
しかしながら、ここでの問題は、金融政策と経済効果の間にタイムラグがあることだ。つまり、金利が上昇しても、そこから経済がその効果を十分に反映するまでに一定の時間がかかるのだ。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は、金融引き締めを通じて、最終的には、成長率は鈍化し、インフレ率は徐々に低下すると予想する。次なる問題は、この過程で成長が減速しすぎないかどうかだ。ソフトランディングを実現するバランスは簡単ではないし、インフレがなかなか収まらずに政策当局がさらに積極的に行動する必要がある場合は、いっそう難しくなる。景気後退のリスクは高まっており(以前の記事『世界経済の見通し:インフレ・バトルは世界へ』ご参照)、市場のボラティリティが高まって、流動性が一時的に低下する要因にもなっている。しかしながら、景気後退のリスクは同時に投資機会をも生み出している点も指摘したい。
 

社債セクターに着目すべき

金融引き締めと景気後退リスクの高まりは、一般的に社債にとって危険な組み合わせである。しかし、投資適格社債やハイイールド債が今日、魅力的に見えるのにはいくつかの理由がある。
 
第一に、現在の企業は長期的にみてもファンダメンタルズが強固であり(以前の記事『成長鈍化の今なぜ社債か?』ご参照)、歴史的に見ても、景気後退の瀬戸際でこのような状態にあったことはない。ちょうど2年前、パンデミックが起こったとき、企業市場はデフォルトの増加を経験した。生き残った企業は強い企業であり、かつ、収益性が回復したとはいえ不確実性の高いコロナ環境下の2年間、バランスシートと流動性を保守的に管理してきた。
 
さらに、ほとんどの発行体は、パンデミックの発生以降、債務返済までの期間延長に成功している。つまり、社債の満期に伴い多くの発行体が現行の金利で新たな債券を調達せざるを得なくなる「マチュリティ・ウォール(債券満期の壁)」が近づいていないのである。金利水準が今後何年か高止まりしても、企業の利払いは今後何年も依然として低水準にとどまる。その結果、今後12カ月間、デフォルトや格下げは歴史的に見ても非常に低水準にとどまると予想される。
 
第二に、今日の広いスプレッドでは、社債のバリュエーションが魅力的と評価される。利回りとスプレッドは数年来の高水準にあり、欧州の投資適格企業の平均利回りは、指数の半分がマイナス利回りだった2021年8月に比べ200ベーシス・ポイント以上高くなっている。米国の投資適格社債の利回りは、過去10年で見ると、下から13%台の低い水準から、わずか4カ月の間に上位1%に入る高水準の利回りまで上昇した。
 
現在の金融市場では、ABの見方と同様に、デフォルトは懸念されていないため、デフォルト・リスクに対するプレミアムが利回りに含まれているわけではない。その代わり、ボラティリティに対するプレミアムは歴史的に上昇している。言い換えれば、市場のボラティリティが現在の水準より低下すれば、スプレッドも低下し、逆に市場のボラティリティが上昇すれば、スプレッドは拡大する可能性が高い。ボラティリティの上昇は長期にわたって続くとみられ、スプレッドは拡大したままである。このような環境では、「キャリー」、すなわち債券のクーポンを確保することが重要である。
 
第三に、今日の利回りの上昇は、ハイイールド債券や他の高インカム債券の将来のリターンが有望であることを示唆している。歴史的に見ると、ハイイールド債券セクターの利回りは、その後5年間のハイイールド債券のトータル・リターンを示す信頼性の高い指標となっている(以前の記事『The One Metric All High-Yield Investors Should Know』(英語)ご参照)。過去にハイイールド債券においては、世界金融危機という経済と市場が最もストレスを受け混乱した時期にも、投資開始時のハイイールド債の利回りと投資開始後の5年間のリターンの関係は安定していた。ハイイールド債券の利回り水準は他の資産では得られないほどの高水準だからだ。
 

市場環境に即した舵取りとは

このような投資環境に対し、アクティブな運用者がどのようにチャレンジしていくかを紹介する。
 
ダイナミックであること。ボラティリティの上昇と流動性の問題は今後も続くと予想される。投資家はニュースやヘッドラインに受け身になってはならず、アクティブな運用者は、急速に変化するバリュエーションや一瞬のチャンスを生かすための準備をする必要がある。
 
インフレへの対抗策を導入すること。インフレは沈静化するまでしばらく高止まりする可能性が高いため、物価連動国債やCPIスワップなど直接的にインフレからリターンを保護する証券、ポートフォリオに有用な役割を果たすことができる。
 
高利回りのセクターに資産配分すること。ほとんどのリスク資産の利回りは、ここ数年来、大幅に上昇しており、これは投資家が待ち望んでいた好機である。投資適格社債(以前の動画『Time to Step Back into Investment-Grade Credit』(英語)ご参照)、ハイイールド社債、商業用不動産担保証券や信用リスク移転証券(CRT証券)など証券化資産などの「スプレッド・セクター」は、より高いインカムを原資に、インフレに対するバッファーとして機能することが可能である。
 
先進国の高利回り社債は、今日、特に魅力的に見える。ブルームバーグ・グローバル・ハイイールド社債指数の平均利回りは9%で、ファンダメンタルズは良好であり、長期的な視野を持つ投資家は短期的なドローダウンを乗り切ることができる(以前の記事『How Well Do You Know High Yield?』(英語)ご参照)。とはいえ、債券を選ぶ際には慎重になるべきだろう。
 
一方、新興国債券については、引き続き慎重である。インフレ・リスクが高まり、新興国の各中央銀行はインフレ・スパイラルに歯止めをかけるために成長を犠牲にする可能性があると思われるが、ウクライナをめぐる戦争による食糧供給の問題が続く環境においては、それは困難であろう(以前の記事『Conflict Brings a New Challenge to Global Food Security』(英語)ご参照)。
 
バランスの取れたアプローチを選択すること。投資家は市場環境やバリュエーションを注意深く観察し、状況に応じてポートフォリオの構成を変えることができるため、グローバルかつ複数のセクターにまたがるポートフォリオを組むアプローチは急速に変化する状況の乗り切るのに適している。最も効果的なアクティブ戦略は、国債やその他の金利動向に敏感な資産と、経済成長に敏感なクレジット資産を組み合わせて、単一のポートフォリオとしてダイナミックに運用するものだ。
 
このアプローチは、金利リスクと信用リスクの相互作用を把握し、その時々にどちらにリスクを配分すべきかをより適切に判断するのに役立つ。負の相関を持つ資産のリバランスを行うことで、リスク資産が売られた際のドローダウンの幅を抑えながら、インカムを確保し、かつキャピタル・リターンを得る可能性を高めることができる。
 

未来へのロードマップを作成する

ウクライナをめぐる戦争が続く中、今後何年にもわたって国・企業の分析及びポートフォリオ構築の方法を変えていくであろうメガトレンド的な問題について、投資家は早期にフレームワークを検討し始めるべきだ(以前の記事『ウクライナ侵攻: アクティブ運用への長期的な影響を考える』ご参照)。
 
例えば、欧州はどのように変化するのだろうか。欧州各国がエネルギー戦略を見直す中、再生可能エネルギーへのシフトは加速するのか?戦争は環境・社会・ガバナンス(ESG)投資家の防衛企業に対する考え方を変えるだろうか?
 
この先、商品市場は生産源や輸送・精製能力に大きな変化が生じる可能性があり、現在とは全く異なる様相を呈するかもしれない。脱グローバリゼーションがさらに加速する可能性がある。より多くの国が生産を自国に回帰させた場合、何が起こるのだろうか。これらは、ABの運用チームが検討を始めている複雑な問題の一部に過ぎない。
 
この局面では、債券投資家は目線を高く保つことが重要だ。長い目で見れば、投資家は目先の動きに過剰反応するのを慎むべきだ。そうすることで、市場が目先の情報に対し過剰に反応して生じる投資機会を捉えるような資産運用の舵取りをすることができるのである。
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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当資料は、2022年7月5日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

 

 

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