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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.48 米国株市場の急落、米国経済失速の前兆?

2018年10月22日

米国株急落の一因とされる米国の金利上昇をどうみるか

①米国株 vs 米国長期金利_201810.png

米国のダウ平均株価は、10月10、11日の両日で約5%の急落となった。

 

下落当日に目立った悪材料があったわけではなく、米国株下落の直接のきっかけを特定するのは難しいが、今年2月初旬のように米国の長期金利上昇が、若干の時間差をともなって株価下落を引き起こしたとみられる。

 

9月から上昇が続いた米国長期金利が3.2%前後まで達していたことで、株式投資に対する相対的な魅力度合いが低下した。また、10月初旬からの、米中関係の緊張関係の強まりなどいくつか悪材料が重なったことが、米国株の急落を後押した可能性もある。

 

今回の米国株の急落は、株式ブーム崩壊、また米国経済失速の前兆との見方も一部で聞かれている。  

 

村上コメント

米国長期金利の3.2%程度の金利上昇は、経済成長率やファンダメンタルズに応じた金利上昇であり、当社エコノミストの想定の範囲内の金利上昇とみています。
また、長期金利上昇には、長期的な米国経済の成長・インフレ率の想定の上方修正が反映された可能性もあり、株式市場の先行きにとっては長期的にみればポジティブに考えられるとみています。

長期金利上昇は米国経済の脅威になるか

②米国名目GDPと10年長期金利の関係_201810.png

10月の米国株急落の要因になったとみられる、9月以降の米国の長期金利上昇の背景には、FRBが2019年以降も断続的に利上げを続けるとの見方が強まったことが一因となっている。

 

FRBメンバーが長期的な均衡水準と考える3%を超える水準まで、利上げが続くとの見方も増えている。また、長期金利上昇は、経済成長そしてインフレ率上昇がもたらした側面がある。

 

2018年初に長期金利は上昇したが、米国経済の個人消費を中心に高成長が続いていることは、金利上昇が景気に及ぼす影響が限定的であることを示唆。

 

一方、足元の金利上昇が、今後の景気失速を招くリスクも懸念されている。 

 

村上コメント

米国の名目GDPと10年長期金利を比較すると、過去2回の景気後退直前の2000年、2007年には、両者がほぼ同水準となり、景気後退が訪れたことを示しています。
一方、2018年に長期金利は3%まで上昇しましたが、名目GDPは4%を大きく超える伸びとなっており、米国長期金利の水準は、総じて景気刺激的に作用しているとみています。

中国のインフラ投資拡大は、同国の経済成長を安定させる

③中国市場における鉄筋取引価格と鉄鉱石価格_201810.png

新興国債券市場では、9月中旬にトルコ中銀が大幅な利上げを行ってから、通貨高となりソブリン債券も一時買い戻されたが、10月に米国株式市場などリスク資産全般が下落すると、再び不安定な状況となっている。

 

通貨安となった中国など多くの新興国経済について減速懸念が高まっており、これが米国による関税引き上げ政策とあいまって、今後の世界経済を減速させこれまで高成長が続いてきた米国経済を動揺させるとの慎重な見方もある。

 

10月のIMFなどの経済見通しでも、新興国経済の下方修正がクローズアップされた。 

 

村上コメント

多くの新興国経済は通貨安への対応から利上げを進めている一方で、中国は金融・財政政策ともに緩和的な政策を軸足に置いています。
貿易戦争への対処策の側面はありますが、7月から、中国で取引されている鉄鉱石価格、鉄筋価格が上昇しており、政府主導でインフラ投資は動き始めています。これが、2019年にかけて中国経済の安定をもたらすと当社エコノミストは予想しています。

 

経済のお天気予報

Vol47-Global-Map.png

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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