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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.50 米国の景気後退懸念は、2019年に和らぐ見通し

2018年12月20日

世界経済失速への懸念が広がった金融市場

①米国株 vs 米国長期金利の推移_201812.png

2018年10月末には年初来マイナスまで下落した米国株式市場は、その後も上下しながら不安定に推移。11月中旬の感謝祭前後にマイナス圏に下落した後、米中の関税引き上げ先送りの期待で持ち直したが、12月中旬にかけて再び下落し、再度年初来のマイナスリターンに落ち込んだ。

 

株式市場下落の背景にある世界景気後退懸念が、債券市場で広がる中でFRBによる利上げ期待も修正され、一時3.25%まで上昇した米国の10年国債金利は2.8%前後まで大きく低下した。

 

10月以降の株安、米欧の国債金利低下の値動きは、好調だった米国経済が2019年にかけて景気後退に陥り世界経済が失速する、との懸念の広がりがもたらしているとみられる。 

 

村上コメント

2019年に米国経済が減速する可能性は高い一方で、筆者は景気後退に到るリスクは低いとみています。
2019年は、米国経済が巡航速度への減速となり、世界経済全体の経済成長率は、2018年対比で-0.2パーセント・ポイントと小幅な成長率低下にとどまり、市場の景気失速懸念は行き過ぎの可能性があるとみています。

米国経済が景気後退に到るリスクが低い理由

②米国家計貯蓄率の推移_201812.png

2018年の金融市場を振り返ると、米国の株式市場が2回にわたり高値から10~15%下落、ほとんどの国の株式は年初来マイナスとなり、また債券為替市場でも新興国の通貨・債券などリスク性資産のパフォーマンスは総じて悪化した。

 

米中貿易戦争など政治リスクへの警戒が市場のリスク許容度を低下させ、米国を含めて経済全体のファンダメンタルズへの懸念を強めたと言える。

 

一方で、米国の経済指標は、2018年末まで高い成長率が続いていることを示唆。米国経済の実勢と経済失速に対する金融市場の懸念、双方には大きな乖離が生じている可能性がある。 

 

村上コメント

債券市場の逆イールド発生などで、米国の景気後退懸念が強まっています。
一方、米国の家計貯蓄率は依然6%の高い水準にあるなど、景気後退をもたらす「経済実態の歪み」が小さいため、2019年も米国経済は底堅さを保つとみています。

2019年からFRBの利上げペースは年2回程度に修正

③米国政策金利の推移_201812.png

米FRBは2016年12月から約2年間、経済成長率の高まりや失業率の低下で、ほぼ3カ月に1度のペースで利上げを続けた。

 

パウエルFRB議長などは、同様の利上げを2019年も継続する姿勢を示していたが、2018年11月半ばから、3%前後と想定する中立的な政策金利の水準を意識する発言が増えた。

 

11月28日に、パウエル議長は「今後の金利上昇ペースは決まっていない」と強調、経済指標などに応じて政策判断を柔軟に運営する姿勢を示した。FRBの姿勢の変化の背景には、株式市場の変調や海外経済の停滞が、米国経済に波及するリスクにより慎重になっていることが一因とみられる。 

 

村上コメント

2018年10月以降の原油価格急落などを背景に、2019年はFRBの利上げペースが年間2回程度に緩やかになると当社は予想しています。
FRBの緩やかな利上げへの政策転換は、米国の景気後退リスクを低下させると考えています。

 

経済のお天気予報

Vol49-Global-Map.png

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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