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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.51 FRBの政策転換で、2019年の世界経済は安定化

2019年01月21日

FRBの政策姿勢は大きく修正

①米国政策金利の推移_201901.png

2018年12月後半に、米国株式市場は大幅に下落した。

 

中国など世界経済への懸念が高まっていたことに加えて、12月FOMCの後に、景気減速が続く中でFRBが利上げを続けるとの疑念が高まったことが、市場心理を大きく悪化させ、株価下落に拍車をかけた。

 

その後、複数のFOMCメンバーから、海外経済のリスクに配慮すること、今後の政策判断を柔軟に行う、などの軌道修正を示唆する発言が相次いでいる。 

 

パウエル議長も、1月4日の学会において、これまでの利上げ継続スタンスを変更させるとともに、市場で懸念されているバランスシート縮小のペースについても、柔軟に対応する姿勢を見せたことで、金融引き締め行き過ぎへの懸念は一旦和らぎ、米国株式市場を中心にリスク資産は持ち直している。 

 

村上コメント

FRBの利上げ継続姿勢は大きく変わり、2019年央までは利上げを見送る可能性が高いとみます。
FRBの利上げ見送りで金融環境が緩和的になり、米国の景気後退リスクは低下。想定していた利上げをFRBが見送りを続けた2016年と同様に、市場のリスク回避姿勢が和らぐ可能性があります。

景気失速への懸念が和らぐには、やや時間がかかる見込み

②グローバル製造業購買担当者指数(PMI)_201901.png

2018年末の米国株式市場の急落とともに、米国10年金利は、1月月初には一時2.5%台と、2018年初の水準まで大きく低下した。債券市場では、米国経済が後退に陥り、FRBが早期に利下げに転じるとの見方が強まった。

 

株式市場では1月10日前後には、12月中旬の水準まで大きくリバウンドする中で、米10年金利の上昇は12月末とほぼ同じ水準にととどまっている。

 

株式市場との対比で、債券市場では、米国経済に対してより慎重な見方が強まっているとみられ、金融市場の中で、経済の先行きの見方には、ややばらつきがみられている。 

 

村上コメント

当面、グローバル製造業PMI指数が2016年前半と同様の水準まで低下する可能性が高く、世界経済停滞への懸念が燻り、リスク資産は上下する可能性があります。
ただ、米国経済が景気後退に至る可能性は低く、2019年央にかけて、経済失速への懸念が和らぐ展開を想定しています。

中国の政策対応の効果が前倒しであらわれる可能性

③中国_非製造業の企業景況感と消費センチメント指数_201901.png

2018年後半から、中国経済の減速に対する金融市場の懸念が強まっている。

 

12月製造業景況感指数は、輸出減速などを背景に2016年以来となる50を下回る水準まで低下。12月貿易統計でも、輸出の大幅な伸びの鈍化が示されており、製造業セクターでは停滞が続く可能性が強まっている。

 

国内でも、2018年後半に自動車販売が大きく減少するなど、懸念される指標もみられる。一方、非製造業セクターの景況感指数はやや減速しているが、年末まで50を上回る水準を保ち、また2018年夏場に低下した消費者センチメント指数は、2018年末に改善するなど、中国の個人消費に関するシグナルは強弱入り混じっている。 

 

また、インフラ関連の設備投資、関連セクターの生産数量は2018年後半から増えており、財政政策の効果が、中国経済の下支えとして効果があらわれる兆しがみられている。 

 

村上コメント

当社中国担当エコノミストは、GDP比率1.0-1.5%規模の財政政策が2019年早々に出現する可能性が高く、政策が前倒しで現れる可能性があり、2019年の中国経済の下振れリスクはやや和らいだと判断しています。

 

経済のお天気予報

Vol49-Global-Map.png

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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