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デジタル・イノベーションの未来を知るには中国を見よ

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サミー鈴木
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用 共同最高投資責任者 
 
 

 

 

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2018年4月5日

 
 
 
多くのデジタル技術応用分野で、中国が急速に最先端市場となりつつある。それは従来の常識を覆すものだが、世界のテクノロジーや消費市場が今後どこに向かうのかを知るには、中国に目を向けなくてはならなくなっている。
 
過去数十年にわたり、投資家は先進国のトレンドを観察することで新興国市場の未来を予測してきた。しかし、そのアプローチは今や時代遅れになっているかもしれない。電子商取引からネット広告に至るまで、さまざまな分野において、中国は先進国を追い越している。先進国の企業や投資家は、中国の動きを注視する必要がある。
 

電子商取引 対 実店舗  

新たな世界秩序の核となっているのはモバイル通信の発展である。中国の固定通信インフラは、ついぞ欧米の水準に追いつくことはなかった(図表1の左図)。しかし、携帯電話の普及率は、ほぼ先進国と肩を並べている(図表1の右図)。また、中国では実店舗ベースの小売業の発達はかなり遅れている。こうしたインフラ面の違いが、現在は中国にとって有利に働いている。
 
 
中国では一足飛びに携帯通信が普及.png
 
 
先進国では、電子商取引へのシフトは痛みを伴うケースが多い。小売業者は店舗網を大幅に縮小し、実店舗を通じた販売とネット販売の適切なバランスを見つけ出さなくてはならない。だが、中国ではネット販売を拡大する上で先進国ほど店舗スペースを縮小する必要がないため、それははるかに容易な作業となる(図表2の左図)。例えば、アリババ・グループはスーパーマーケット・チェーンの「Hema」の店舗網を構築するにあたって、オンライン注文の配送に最適化した店舗配置を採っている。対照的に、アマゾンは最近ホールフーズ・マーケットを買収したが、これには大掛かりな店舗再編が必要となりそうだ。
 
何が起きているのだろうか?中国企業は既存店舗インフラを改造することなく、デジタルな世界に適した効率的な電子商取引プラットフォームを直接構築することができた。その結果、中国では小売業の売上高全体に占める電子商取引の比率が約15%に達し、米国の8.9%を大幅に上回っている(図表2の右図)。
 
過剰な実店舗がオンラインへの移行の障害に.png
 

モバイル決済  

中国の電子商取引ブームに拍車をかけているもう一つの要因は決済革命である。中国の消費者は、圧倒的にモバイル機器を通じた支払いを好んでいる(図表3)。こうした面でも、中国の消費者と企業は米国を凌いでいる。これも、やはりインフラの問題だ。
 
 
消費者が好む支払い方法は?.png
 
 
 
 
中国では成人人口10万人当たりの銀行支店数が16.3店で、米国の32店や欧州の24店と比べはるかに少ない。同様に、クレジットカードもさほど普及していない。これこそが、中国の消費者が衣料品からファストフードに至るまで、あらゆる買い物にモバイル決済を選好する理由となっている。
 
フライドチキンのKFCは好例だ。中国のKFC店舗では、2017年末には売上総額の53%がモバイル機器を通じて支払われるようになった。杭州にあるKFCのプレミアム店舗では、顧客は顔認識を用いて代金を支払うことができる。
 

メディアと広告   

メディア消費でも同じようなトレンドが進行している。中国では、モバイルへの急速なシフトがデジタル広告ブームを後押ししてきた。広告支出全体の約3分の2がデジタル・プラットフォーム向けで、その比率は米国の40%を大幅に上回っている。eMarketerのデータに基づくABのリサーチによると、中国におけるその比率は2020年までに70%を突破すると予想される。
 
テレビはもはやメディア消費の中心ではなくなっている。今や、スマートフォンが主役で、そうした機器は消費者に関する大量のデータを広告主に提供していることから、広告投資のリターンはより直接的に測れるようになった。そして、より正確なデータを備えた企業が新規参入していることにより、既存の広告手法では消費者に影響を及ぼしにくくなっている。こうしたデジタル広告分野における先進的な取り組みにより、中国は消費者データをマネタイズするビジネスの最前線となっている。
 

人工知能と顔認識    

一部の中国企業は大胆な手法で新たなテクノロジーを試している。教育サービス企業のTALエデュケーションは、遠隔学習を活用しているほか、人工知能(AI)テクノロジーも試している。結果を見ると、こうしたプログラムを使えば教師が対面で教えるよりも生徒の集中力が持続し得ることがわかる。同社はさらに、生徒の集中度を把握するため顔認識技術を開発している。もし生徒が学習に集中していなければ、自動的に親に連絡が行くという仕組みだ。
 
中国の顔認識技術会社であるメグビー・テクノロジーは、小売からセキュリティまで、さまざまな分野でその技術を活用している。小売店では店に入ってきた得意客をすぐに見分けるために顔認識技術が用いられている。そして警察がショッピング・モールに設置した監視カメラでは、逃走する犯人を追跡するためにその技術が使われている。中国はSF映画の世界を急速に現実に変えつつある。
 

リサーチから学んだこと    

中国は多くの分野で、先進国より数年早く新たなテクノロジーを取り入れている。中国においてテクノロジーがどのように活用されているかを調査することは、米国や欧州、日本の将来を映し出す水晶玉を覗き込むようなものになりつつある。中国の動きを理解している投資家は、二重の意味で有利な立場に立つことができる。中国市場で高いリターンを創出し得る可能性のある企業を発掘することと、先進国市場で他社の先を行く企業を見つけ出すことにつながるからだ。
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/watch-china-to-see-the-future-of-digital-innovation

 

 

 

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当資料は、2018年3月15日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

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