AllianceBernstein アライアンス・バーンスタイン株式会社

knowledge openspace 知の広場

knowledge openspace 知の広場

コロナショックにおけるデータサイエンスとESGフレームワークの活用

                                                                                                                                                                     

2020年5月8日

 
 
要旨
 
情報技術の進化によって、世界にはこれまでにないほど多くのニュースやデータが溢れているが、新型コロナウイルスの登場はそれにさらに拍車をかけている。投資家は、ウイルスによって不確実性が強まるなかで、重要な情報をどのように識別し活用することができるだろうか?
 
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、簡単ではないものの、幅広いユニークなデータソースから得られる情報と、各セクターを担当するアナリストの専門知識とを積極的に組み合わせることで実現できると考えている。
例えば、新型コロナウイルスの症例数や消費者の取引データなどによって、金融市場や各業界の置かれている現状を把握できる。また、例えば従業員による勤務先企業の在宅勤務への対応についてのレビューや、企業の経営陣との対話などを総合的に分析することによって、その業界の将来の勝ち組と負け組の選別や、各企業が直面する可能性のある脅威や機会の理解が可能となる。
 

点と点をつなぎ、洞察を得る

証券分析とは、財務諸表を調べたり、経営陣に厳しい質問をぶつけたりすることだと思っている投資家も多いようだが、それは一部に過ぎない。ABのアナリストやポートフォリオ・マネジャーは、ABが長年にわたって構築してきた柔軟性の高いデータプラットフォームを活用することで、表面的な統計だけでなく、その下に隠された洞察を得ることができる。ここではその例をいくつか紹介する。
 

症例数は始まりに過ぎない

私たちはこれまで、新型コロナウイルスの国別の症例数と死亡者数のチャートを何度も目にしてきた。しかしABでは、症例数と死亡者数の推移、つまりウォール街の誰もが注目している数字は、物事の一面を示すに過ぎないと考えてる。ABのアナリストは、疫学の考え方に基づき、再生産率(R0)に着目している。R0は、各感染者が次にウイルスをうつす人数を表しており、もしある国のR0が1以下で維持されれば、感染者は指数関数的に減っていくことになる。つまり、R0が1を下回るかどうかが、その後、日常生活や経済活動が正常化し始めるかどうかのシグナルになると考えられる。
 
政府が公表する数字は完璧ではないが、このアプローチによってデータをユニークな観点から見ることができる。図表1 (2020年4月15日現在)にあるように、韓国、イタリア、米国は、ここ数週間でついに転換点である1を下回る水準にR0を抑制している。一方、シンガポールは、当初はウイルスをコントロールしていたが、その後感染の再拡大が発生し、ロックダウンの延長を余儀なくされている。これは、感染抑制の施策が一度はうまくいったとしても、その後の再拡大を阻止するための施策もまた必要である可能性が高いことを示している。
 
再生産率(R0)が1以下になると感染は収束していく.png
 

データが示す消費者の行動変化

ABでは、さまざまなデータや指標を活用することで、人間の行動の変化をいち早く捉えることもできると考えている。
 
学術研究によると、最高の意思決定はさまざまなスキルと視点を融合させることで生まれるとされている。それを実践するため、ABの調査プロセスでは、アナリストの担当セクターに関する深い知識と、データサイエンス・チームの能力を組み合わせている。独自のデータプラットフォームを活用することによって、アナリストは、消費行動をさまざまな角度から捉え、それらを組み合わせることで、人や企業がパンデミックにどのように対応しているかを知ることができる。
 
例えば、図表2 (2020年4月12日現在)を見ると、中国のインターネット検索では、「休暇」の検索が、今年初めの谷間の後、再び上昇している。これは、最近の中国の旅行予約サイトの1日のアクティブ・ユーザー数が1年前の水準を大きく上回っていることとも整合的だ。
 
一方の米国でも、「休暇のアイデア」の検索は3月に大きく落ち込んだが、ここ数週間で底打ちした可能性がある。
 
中国と米国での「休暇」のグーグル検索人気度.png
 
もうひとつ興味深いデータとして、消費者の取引データを紹介したい。このデータによって、企業決算や政府の経済データが公表される数週間または数カ月前に、ウイルスによる経済的なインパクトを知ることができた。さまざまな業界における消費者の支出の推移を見ることで、日用品のまとめ買いの動き、ゲーム会社の売上の急上昇、そして旅行・接客業の業績悪化の兆しがはっきりと見て取れる(図表3)。 
 
食料品やゲーム支出が増加した一方で、屋外での不要不急の支出は減少.png
 

オルタナティブ・データによる銘柄の選別

これまで見てきたデータは、市場動向の予測やセクター配分のために、マクロ環境や業界のトレンドを捉えるのに役立つが、一方で、この困難な局面における個別銘柄の選別に活用できるデータもある。
 
例えば、米国の半導体メーカーのサプライチェーンがどの程度中国に依存しているかを見てみよう。ABのデータセットで確認すると、米国の半導体メーカーのサプライヤーのほとんどが、実は米国にあることがわかる(図表4)。一方で、これらの半導体メーカーの多くはアップルに製品を提供していることから、iPhoneやiPad、MacBookの需要が変動することによる業績への影響を受けやすいことがわかる。
 
半導体メーカーのサプライヤーの多くは米国内にある.png
 
 
また、個々の企業が在宅勤務への移行にどのように対応しているかを知るために、オルタナティブ・データを活用することもできる。
 
これは、業務効率と従業員の満足度の両方に影響する可能性がある。もし従業員が自宅で効率的に仕事ができなければ、企業の生産性は低下し、さらにこれが従業員の満足度と結びついているとすれば、経済が正常化した後、不満を持った従業員が会社を去っていき、長期的に競争力が損なわれることにもつながりかねない。
 
例として、米国の医療保険業界を見てみよう(図表5)。これらの企業の多くは、在宅勤務についてうまく対応しているように見える。しかしA社については、2019年の秋までは在宅勤務についての従業員からの不満は他社並みに推移しているものの、それ以降大きく増加している。また、肯定的なコメントをしている従業員の数も相対的に少なく、何らかの課題を抱えている可能性は否定できない。
 
在宅勤務の評判の悪さが目立つ医療保険会社がある.png
 

コロナショックはエンゲージメントの課題でもある

新型コロナウイルスのパンデミックによって、ABの環境・社会・ガバナンス(ESG)分析やエンゲージメント活動が後退したわけではない。反対に、企業の新型コロナウイルスへの対応を、ESG分析のフレームワークと、独自のESG情報共有プラットフォームであるESIGHTに直接組み込んでいる。そうすることで、すべての運用チームが、変化する企業のファンダメンタルズやESGに関する状況、そして新型コロナウイルスへの対応について洞察を共有している。
 
役員報酬や二酸化炭素排出量に加えて、新型コロナウイルスへの対応がエンゲージメントの主要な話題のひとつになっている。対象となる企業は、大手消費者ブランドから、パンデミックに最も直接的に関与しているヘルスケア企業まで多岐にわたる。エンゲージメント活動を通じ、これらの企業が責任ある企業市民であることを確認するだけでなく、新型コロナウイルスがビジネスにもたらす機会と脅威について理解を深めることができる。そして、ABの独自のプラットフォームによって、これらの重要な洞察はすべての運用チームで共有されている。
 

シグナルとノイズ

新型コロナウイルスに関する新しいデータは、依然多くのノイズを含んでいる。ABでは、それらをすべての運用チームが利用できる柔軟なプラットフォームに統合することで、ノイズをフィルタリングし、顧客に代わってより良い投資判断を行うためのシグナルを見出すことを可能にしている。
 
ABでは、定量・定性両面の分析に基づいて、投資テーマの構築・検証を行っている。今後も、多面的な視点と確立された運用プロセスによって、市場の乱高下を利用し、顧客に価値を提供することができると考えている。
 
 
 
 
 
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもABポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2020年4月25日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@alliancebernstein.comまでお寄せください。

運用サービス

  • 債券
  • 株式
  • マルチアセット
  • オルタナティブ
  • リスク抑制
  • リターン追求
  • 更なる分散

アライアンス・バーンスタイン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号 
【加入協会】一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会
https://www.alliancebernstein.co.jp/

 当資料についての重要情報

当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。

投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。


お客様にご負担いただく費用:投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
● 申込時に直接ご負担いただく費用 …申込手数料 上限3.3%(税抜3.0%)です。
● 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
● 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.068%(税抜1.880%)です。

その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。

上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

ご注意

アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

戻る