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高配当株は2020年に市場全体を大幅にアンダーパフォームしたが、足元では回復に向かう初期の兆しが現れてきた。この動きは持続する可能性が高い。配当の削減や停止は正常化に向かい始めており、持続している低金利環境や足元での信用スプレッド縮小は、投資家を再び高配当株に引き戻す要因となりそうだ。
 
一部の企業が配当を削減または停止するのは自然な動きである。しかし、2020年3月から4月にかけては、新型コロナウイルスが企業に打撃を与え、多くの企業がバランスシートを守るため資本分配の削減や停止を余儀なくされたことから、それは細い流れから津波に変化した。その後、2020年下半期には減配や配当停止のペースが鈍化し、より正常な配当パターンに戻り始めた(図表の左軸)。2021年には世界経済見通しが改善し、企業業績が力強い伸びを示すとの観測が、配当パターン正常化の動きを支える要因となりそうだ。一方、2020年はリターン格差、つまり高配当株と株式市場全体の「パフォーマンス・ギャップ」が過去20年で最大の水準に達した(図表の右軸)。
 

2020年は高配当株が著しくアンダーパフォーム

2020年は高配当株のリターンが市場全体を16%下回り、グロース株と比べると30%以上下回った。それ以前の年は、世界の株式と高配当株のリターン格差ははるかに小さかった。MSCI ワールド指数が2020年に力強く上昇して最高値を更新したのに対し、MSCI 高配当株指数は2021年2月初旬時点でようやく2020年3月の下落分を取り戻したに過ぎない。
 
興味深いのは、債券利回りが低下する中でこうした高配当株のアンダーパフォーマンスが起こったことである。投資家が魅力的なインカム収入源を探し求める環境において高配当株がこれほどアンダーパフォームするのは異例のことである。
 

現在の高配当株の利回りはハイイールド債と同等の水準

高配当株はハイイールド債に比べて魅力的であるように見える。過去10年間、ハイイールド債の利回りは高配当株の配当利回りを平均で約2.4%上回っていた(ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・ハイイールド指数とMSCI グローバル高配当指数から算出)。コロナ危機が始まった時点では、この利回り格差は5.7%まで急拡大した。
 
しかし、それ以降はクレジット市場が力強く値を戻し、ハイイールド債のスプレッドが縮小したことから、2021年2月初旬時点では高配当株とハイイールド債の利回りが同等の水準となっている。実際、高配当株とハイイールド債の足元での利回り格差は、過去10年間で最低水準にある。
 
2021年1月末時点で、高配当株の配当利回りが3.7%なのに対し、ハイイールド債の利回りは4.2%(MSCI グローバル高配当指数とブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・ハイイールド指数の利回り)で、利回り格差は約0.5%に縮小している。高配当株銘柄はハイイールド債の発行体に比べて質が高く、ファンダメンタルズがはるかに強力である場合が多いことを踏まえれば、これは極めて異例のことである。
 

異例の環境がマルチアセット型アプローチの追い風に

高配当株の異常なパフォーマンスには、全体像の一部が反映されている。コロナ危機が引き金となったリターン格差は、過去数十年で最も極端な現象の1つだった。企業セクター、世界経済、資産クラス全体にわたり、回復ペースが著しく異なっており、これまで市場全体に比べて出遅れている資産クラスやセクターへの投資機会が生まれている。こうした環境においては、投資家がバリュエーションのゆがみを捉え、世界経済が正常化に向かう動きを活用してリターンを獲得するには、制約のないマルチアセット型アプローチが役立つとアライアンス・バーンスタインでは考えている。高配当株はこうした流れの恩恵を受ける資産の1つとなる可能性がある。
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
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