AllianceBernstein アライアンス・バーンスタイン株式会社

knowledge openspace 知の広場

knowledge openspace 知の広場

新興国市場は米ドル高に耐えられるか?

harting_morgan_WA2.jpg

 

モーガン・ハーティング 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
マルチアセット・ソリューション部門
ポートフォリオ・マネジャー
 
 
 
 
 

 

PDF版をご希望の方はこちら pdf

2018年8月2日

 
 
最近のトルコの通貨危機は、新興国市場の株式や債券を保有する投資家を不安に陥れた。米ドルが幅広い通貨に対し全般的に強含んだことがさらに不安を煽った。しかし、新興国の経済や企業は過去と比べ、米ドル高に対する抵抗力がはるかに高まっていることを忘れてはならない。
 
新興国の資産価格は2017年初めから2018年の年明けあたりまで、米ドルの下落トレンドと足並みを合わせるように回復してきた。それは必ずしも偶然ではないだろうし、多くのアナリストは米ドルの下落を新興国市場のパフォーマンスに寄与した大きな要因だとみている。だが、実際はもっと複雑だ。新興国の株式は2014年9月から2015年6月までの米ドル高局面では好調に推移したが、その後2016年初めまでは米ドル相場が安定していたにもかかわらずパフォーマンスが低迷している(図表1)。 
 
 
新興国株式と米ドル:常に相関度が高いわけではない.png
 
 
 

新興国ファンドから資金が流出 

2018年は、米ドルが上昇する中で新興国の資産価格は低迷している。米ドル建ての新興国債券が年初から5月29日までに3.6%下落したほか、新興国株式も2.1%下落した(米ドルベース)。投資家はすでにそれに反応しており、5月は新興国の株式や債券のファンドから資金が流出し、それまで4カ月にわたって続いていた高水準の資金流入が途絶えた。
 
一般的には、米ドル高は米ドル建て債務のある新興国の借り手に問題をもたらすと考えられている。不利な為替レートで債務を返済しなくてはならなくなるからだ。また、多くのアナリストは米ドル高が全般的な流動性のひっ迫や、「リスク・オフ」指向を示す兆しだと受け止めており、これはいずれも新興国市場にとっては逆風となるものだ。
 

米ドル高の背景 

こうした説明には妥当性もあるが、より広い視野から市場全体の流れを見る必要がある。
 
米ドル相場は、足元の回復にもかかわらず、他の主要通貨に対して依然として2017年初頭につけたピークを約8%下回っており、過去5年間の平均に近い水準にある。したがって、新興国の借り手にとっても、為替レートによる負担は十分吸収できるものと考えられる。
 
流動性に関するリスクも誇張されている可能性がある。流動性は確かに世界的にやや引き締まっているかもしれないが、それはかなり緩い水準からの動きであることに留意すべきである。しかも、主要中央銀行の大半は、少なくとも年内は緩和的な政策を維持すると予想されている。
 

為替相場の影響が過大評価 

そもそも、新興国の企業や経済にとって、為替相場の動きはかつてほど大きな問題ではなくなっている可能性もある。各国の内需拡大の結果、多くの新興国企業は今や利益の大半を国内市場で稼いでおり、米ドル建ての負債もさほどない。新興国株価指数への組入比率の高い企業でもそれは当てはまる。例えば中国の大手インターネット企業は、為替相場や金利でファンダメンタルズが影響を受けることはほとんどない。輸出比率の高い企業は、むしろ米ドル高によって米国市場における競争力が高まり、恩恵を受ける。
 
各国政府にとっても、米ドル高によって信用力が損なわれる可能性は、5年前と比べても著しく低下している。それは2013年に「テーパー・タントラム(米連邦準備制度理事会の量的緩和解除観測を受けた市場の混乱)」に見舞われた後、新興国が着実に課題をこなしてきたからだ。各国の対外収支ははるかに健全になり、対外債務への依存度も低下している。もちろん、トルコなど例外的に脆弱に見える国もある。そのため、投資家は米ドル高の環境下で新興国の債券に投資するにあたっては、選別的な姿勢をとる必要がある。
 

ヘッジは重要

たとえ米ドル高で新興国市場の長期的な回復が損なわれることはないとしても、短期的には市場に影響が出る可能性があるのは明らかだ。そのため、今日のポートフォリオにおいては、為替リスクを積極的に管理することがとりわけ重要になる。
 
新興国ポートフォリオの一部を米ドルベースにヘッジすることにはいくつかの利点がある。投資家はファンダメンタルズが強固な資産への投資に集中できる一方でボラティリティが抑えられる上に、米ドルがさらに上昇した場合にはヘッジから利益を得られる可能性もある。
 
それに加え、ヘッジ・コストは10年以上前と同じくらい低くなっている。米国の金利が上昇している一方、新興国の金利は引き続き低水準にあるからである(図表2)。
 
 
為替ヘッジコストが低下.png
 
 
 
もちろん、新興国資産は投資家のリスク許容度の変化に影響を受ける。そして、リスク許容度は今年になってやや後退している。しかし、投資家の不安感を反映して高まっていたボラティリティは、低下の兆しが現れている。例えば、米国株式市場のボラティリティを示すVIX指数は、すでに2月初めのピークから3分の1の水準に低下している。
 

堅調なマクロ経済と企業収益のトレンド 

為替以外の要因を見渡すと、新興国全体で経済や企業業績の拡大トレンドが力強い動きを維持している。それは新興国の債券市場や株式市場の持続的な上昇を支える要因となるだろう。
 
新興国の資産は最近、米ドルの為替レートへの感応度が高まっている。しかし、アクティブな姿勢で為替のエクスポージャーを管理し、株式や債券の選択を行えば、投資家は長期にわたって個別銘柄要因に基づく魅力的なリターン獲得機会を手にしつつ、為替相場の変動に伴う短期的なボラティリティを抑えることも可能になる。
 

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/can-emerging-markets-defy-a-stronger-dollar

 

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2018年6月4日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@aliancebernstein.comまでお寄せください。

運用サービス

  • 債券
  • 株式
  • マルチアセット
  • オルタナティブ
  • リスク抑制
  • リターン追求
  • 更なる分散

アライアンス・バーンスタイン株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号 
【加入協会】一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会
http://www.alliancebernstein.co.jp

 当資料についての重要情報

当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。

投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。


お客様にご負担いただく費用:投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
● 申込時に直接ご負担いただく費用 …申込手数料 上限3.24%(税抜3.00%)です。
● 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
● 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.0304%(税抜1.8800%)です。

その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。目論見書、契約締結前交付書面等でご確認ください。

上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。

ご注意

アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

戻る