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ショッピングと投資の陰に潜む「現代奴隷」

                                                                                                                                                                     

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ミシェル・ダンスタン(写真)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
責任投資 グローバル責任者
グローバルESG改善戦略 ポートフォリオ・マネジャー
 
 
 
 
サスキア・コート・チック
アライアンス・バーンスタイン・オーストラリア・リミテッド
責任投資 ESGリサーチ/エンゲージメント ディレクター
 

2021年2月24日

 
 
衝撃的かもしれないが、地元の店に生鮮品や衣類を買いに行くことが、人間に対する搾取を助長しているかもしれない。投資家にとって、同じような構図はポートフォリオの中にも存在している可能性があり、それを排除するには受け身の取り組みだけでは不十分である。
 
現代の奴隷労働とは、企業のサプライチェーンや運営において強制労働や他の人権侵害が行われていることを指し、公式には違法とされている。だが、先進国を含む多くの国ではいまだにそれがまん延している(図表)。ある推計によると、2016年には4,030万人がその被害者となった。それは地球上の185人のうち1人に相当し、そのほとんどが女性と少女である*。
 
現代奴隷の問題は世界の半分に広がり、幅広い分野に影を落としている.png
 
消費者はこの問題に対する認識を高めつつあり、明らかに倫理的な理由からそのような問題を排除する行動を取り始めている。投資家も同じで、ファンダメンタル・リサーチを強化し、保有銘柄への信頼度を高めるために、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する視点を企業分析に取り入れている。
 
現代奴隷が企業とどう関連しているかは人々の目から隠され、複雑なものである可能性があるため、投資家が適切なリサーチを行うには、国や産業に関する全体像を把握すると同時に、企業のビジネスモデルやサプライチェーンのあらゆる側面を綿密に観察する必要がある。
 

いつものショッピングに内在する真のコスト

この社会悪はどれだけまん延しているのだろうか?そして、投資家にとって、問題を露呈させ、解決するのはどれほど困難なのだろうか?それは買い物に行くだけで分かる。
 
まず、買い物に行くために使う車から考えてみよう。少なくとも4つの自動車メーカー(米国の2社、欧州と日本の各1社)がブラジル産のせん鉄を車のドアに使用している。せん鉄のサプライチェーンは、広葉樹を燃やして木炭を作ることから始まる。広葉樹は違法に伐採されることが多く、木炭はブラジルの熱帯雨林で奴隷労働者を使って作られている。
 
車の光沢ある塗装仕上げも人的犠牲を強いているかもしれない。その成分の1つであるケイ酸塩鉱物の雲母は、インドの鉱山で児童労働や借金返済代わりの労働によって産出されている。美しく仕上げられた車の陰では、洗車場で働く搾取された労働者が犠牲になっているかもしれない。それは特に英国で大きな関心を集めている。店に行く途中で音楽を聞くのに使っている携帯電話にも、コンゴ民主共和国で産出されるコバルトが用いられている可能性がある。同国の鉱山では現代の奴隷労働が広がっている。
 
店の駐車場も搾取と切り離すことはできないかもしれない。少なくともあるオーストラリアの小売チェーンは、多くは移民から成るショッピングカート収集労働者を供給する請負業者の間で、賃金搾取など現代奴隷の労働慣行が広がっていることを突き止めた。
 
ショッピングリスト自体はどうだろうか?世界に輸出されるニンニクの80%以上は中国産で、中国のサプライチェーンでは囚人労働が広がっている。オーストラリアで栽培されているベリー類は、移民労働者の虐待に関する事例と関連があるかもしれない。タイの水産物も疑わしい。タイの水産業では労働者を公平に扱っている企業も一部にあるが、奴隷労働を使っている企業も多く見られる。
 
これらはいずれも消費関連の事例だが、現代の奴隷労働は海運や航空会社を含むグローバルなサプライチェーンでも幅広くまん延している。例えば、航空機内で使われるヘッドホンを中国の囚人労働者が製造していたことが知られている。
 

社会と投資家のために、問題をあぶり出す

現代奴隷は犯罪集団によって運営されており、彼らは生き残るために実態を隠し、汚職に手を広げている。こうした影の部分により、企業がグローバルなサプライチェーンにおける現代奴隷のリスクを追跡することは難しく、時には自社の事業運営においてすらそのリスクを把握しにくくなっている。その結果、消費者や投資家は、気づかぬまま犯罪に加担することになりかねない。
 
投資家はどうすればこうした慣行や被害者に光を当てることができるのだろうか?
 
重要なのは、包括的で徹底したリサーチである。それは、大局的なレベルで何が警戒信号になるか知ることを意味する。例えば、企業がビジネスを行っている国や、ビジネスに必要な物資や労働力の調達先、ビジネスの性格を把握しなくてはならない。また、それぞれの企業がどのようにサプライチェーンを管理しているか、また、その企業のポリシーが現代の現代奴隷リスクをどのように評価及び削減しているか、しっかり監視することも必要となる。
 
投資家が企業のリーダーや経営陣に直接働きかけ、サプライチェーンや事業における現代奴隷への取り組みを促すことも重要である。それは道徳的にも投資の観点からも理にかなっている。企業がサプライチェーンにおける現代奴隷に関するリスクを管理できなければ、その企業はサプライチェーンを管理することができない。そして、経営者はグローバルな問題を無視していることになる。
 
 
 
* 出所:International Labor Organization and Walk Free Foundation『Global Estimates of Modern Slavery』(2017年)。当リサーチでは、現代奴隷の中でも強制労働及び強制結婚に焦点を当てています。
 
 
 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.alliancebernstein.com/library/how-shopping-and-investing-might-be-enabling-modern-slavery.htm

 

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