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glossary openspace 用語集

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フィデューシャリー・デューティー

個人の資産運用

フィデューシャリー・デューティーとは

フィデューシャリー・デューティーとは、日本語で「受託者責任」と訳され、受益者(依頼主)との信認関係における受託者が負う義務のことをいいます。

具体的には、「受託者は、何より受益者の利益のために行動しなければいけない」ことを指し、金融界においては、「他人の資産を預かって業務を行う金融機関は、何よりも顧客の利益を最大限にするために行動しなければならない。顧客の利益に反する行為は行ってはならない」という、顧客本位の業務運営を意味します。

 

なお、フィデューシャリー・デューティーを実践するために、金融機関に求められる具体的な内容は以下の7つとなります。

 

顧客本位の業務運営に関する原則

・顧客本位の業務運営に関する方針の策定・公表等

・顧客の最善の利益の追求

・利益相反の適切な管理

・手数料等の明確化

・重要な情報のわかりやすい提供

・顧客にふさわしいサービスの提供

・従業員に対する適切な動機付けの枠組み

 

フィデューシャリー・デューティーの起源

元々、フィデューシャリー・デューティーは信託(何かの目的のために、自己の財産を信頼できる他人に任せ管理・運用してもらう)制度から生まれたもので、起源は中世のイギリスにさかのぼります。

そもそも、フィデューシャリー・デューティーは、日本では認知度の低い言葉でした。日本では金融庁が公表した「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」で初めてこの言葉が登場し、注目されることになりました。

 

 

金融庁がフィデューシャリー・デューティーに言及した背景

金融庁がフィデューシャリー・デューティーに言及した背景には、およそ次のような経緯があると考えられます。

日本の金融業界は、以前は金融安定化・産業保護政策のもと、国が金融機関やマーケットの在り方に積極的に関わる、いわゆる「護送船団方式」で運営されていました。

しかし、バブル経済崩壊後、1996~2001年度に「金融ビッグバン」という大規模な制度改革が起き、従来の護送船団方式から、各金融機関が創意工夫を持って独自のビジネスを行う、民間主体のビジネスとなりました。これにより、投資顧問会社が自由にビジネスをできるようになって、2000年代に入り、資産運用業は急速に発展しました。

 

しかし、自由な金融商品の設計・販売は、良い面だけではありませんでした。例えば、証券会社が投資商品において頻繁に売買を繰り返し、顧客からの売買手数料で稼ぐ「回転売買」が行われるケースや、運用実績以上の過度な分配金を払い出すことで元本割れとなるケースや、投資家が高金利通貨の為替リスクを十分に理解しないまま商品を購入して損失が発生するケースなど、さまざまな問題にもつながったのです。時を同じくして、世界的な金融問題としてリーマンショックが発生し、それらの反省から国外で金融ルールの見直しが進められ、日本でも2011年頃から規制の強化が始まりました。

 

さらに、日本では2012年に民主党から自民党への政権交代があり、安倍政権において、改めて日本経済の成長戦略がフォーカスされるようになりました。経済成長率を引き上げるには企業の成長が必須であり、そのためには企業のガバナンス向上が重要です。そして、企業のガバナンス向上のためには、株主である機関投資家(資産運用会社など)が、自社グループや株を持ち合う相手に配慮した投資ではなく、最終受益者たる個々の投資家の利益にかなう投資をすることが不可欠だとされたのです。

 

このような一連の流れの中で、フィデューシャリー・デューティーの必要性がクローズアップされ、日本でも浸透が迫られるようになったのです。

 

金融庁がフィデューシャリー・デューティーを提唱した影響

金融庁が、初めてフィデューシャリー・デューティーの重要性に言及してまだ4~5年ですが、その影響はさまざまな形で表れています。

 

最も大きな変化は、投資信託を設定して管理する運用会社と販売会社の意識が変わってきていることでしょう。以前は「環境」や「IT」など、時流を意識したテーマ型ファンドが多く作られ、販売されていました。現在は、長期運用を意識したファンドのほうが、注目されるようになってきています。

 

また、「重要な情報の分かりやすい提供」という観点から、投資信託の分配金がどのように出されているかについても詳しい説明が必要になりました。

さらに、全体的に販売手数料は下がっています。そのため、回転売買をすることで手数料を稼ぐような手段は、確実に減少しているようです。

もちろん、顧客の行動だけでなく、販売会社の経営サイドの意識も以前とは異なってきています。例えば、従来のように利益目標を立てるのではなく、預かり資産の残高やファンドの保有期間を目標にするなど、大手金融機関を中心に販売会社の評価体系も変化しつつあります。

 

いずれにせよ、金融庁がフィデューシャリー・デューティーを提唱した結果、多くの個人投資家にとっては、金融商品の内容が分かりやすくなり、手数料等の透明性が高まるメリットが生まれました。さらに、情報開示が進むことで、個人投資家が大きな損失をこうむる可能性があるハイリスクな商品が、説明不足でそのリスクを認識しないまま販売される事例も少なくなってきています。

 

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