2022年は市場やマクロ経済がショックに見舞われる中、パッシブ型の株式投資が優位性を保ち、アクティブ運用のポートフォリオからは資金流出が続いた。しかし、インフレ率と金利が構造的に上昇する世界では、株式投資家にとって、アクティブ・ポートフォリオへのアロケーションを検討すべき妥当な理由がある。

企業や市場は、依然として2022年に広がった不透明感を消化している段階にある。こうした変化は、2022年もネットインフローが続いたパッシブ運用への投資妥当性を再考すべきではないかとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は考える。パッシブ運用は一般的にコストが低く、アロケーションにおいて一定の役割を果たしているが、アクティブ運用は、特に変化が激しい時代において、手数料を支払うに値する恩恵をもたらしている。本稿では、今後数年間、優秀なアクティブ運用への投資妥当性を高める可能性のある変化について考察してみたい。

1. インフレ(と景気後退の可能性)は新たな勝者と敗者を生み出す:今は、インフレ率と金利の上昇によって利益がリセットされる段階が始まったばかりだ。2022年に起こったこうした環境変化(以前の記事『株式市場の見通し: 変化する世界で確信度を上げる』ご参照)の第一段階では、インフレがもたらした最初の影響は金利上昇で、それは市場全体の株価バリュエーションを押し下げた。2023年は、利益成長が株価パフォーマンスに与える影響が大きくなると予想される。

だが、そのプロセスが順調に進むと考えてはならない。インフレや景気後退の可能性は企業に異なる形で影響を与え、株式リターンのばらつきが大きくなる可能性がある。資金コストが事実上ゼロだった時代や、「どんな代償を支払っても成長できる」という考え方ができた時代は遠い過去のことになった。むしろ、資本コストの上昇により、しっかりした規律を持ち、価格決定力、利益や利益率を維持できる能力、少ない負債、固有の事業モメンタムを備えた企業を見極めるためのアクティブ・アプローチが必要となるだろう。総合的に考えれば、これらのトレンドは株式リターンの相関を持続的に押し下げる見通しで、現在の相関係数は2008年の世界金融危機以降の中間値を大幅に下回っている(図表1)。株式の相関低下は、個別銘柄の売買パターンにより違いが出ることを意味するもので、アクティブ運用を手掛ける優秀なマネジャーがアウトパフォームできる好条件を生み出す傾向があり、ポートフォリオ全体のリスク軽減にも役立ち得る。

2. セクターとスタイルのトレンドは同じではない: 2022年までの長期にわたる強気相場は、超大型テクノロジー銘柄の予想可能な利益と秀逸な業績が原動力となった。売りを浴びた局面では、利益を上げていないハイパーグロース株がとりわけ大きな打撃を被った。収益力のある多くのテクノロジー企業は、新型コロナウイルスのパンデミックに伴うロックダウン下という一時的な状況で膨らんだコストが今なお利益を圧迫している。

これまでの市場の秩序は失われた。投資家は今、パンデミック以前の成長率に平均回帰しているに過ぎない企業と、ビジネスモデルが構造的に損なわれている企業、または成長できる企業を区別する必要がある。アクティブ・マネジャーは、パッシブ運用ではできないセクターやスタイルのエクスポージャー決定において個々のビジネスに関するファンダメンタル・リサーチの分析による予想を織り込むることができる。2022年に超大型株やテクノロジー分野のハイパーグロース株が急落したのに伴い、市場のすそ野が拡大した。今は、より多くの銘柄が将来のリターンをけん引するとABではみており、それはアクティブ・マネジャーにとって追い風となる傾向がある。

3. 実質リターンを得るには規律ある厳選投資が必要:長期的な投資目標を達成するには、インフレ率を上回るリターンを得ることが不可欠だ。インフレ、金利上昇、成長に立ちはだかる障害が企業の収益性を圧迫する中、市場全体を持続的に上回るパフォーマンスを達成する銘柄を見つけ出すことが、実質リターンを得る上で重要な意味を持つ。

ABの調査によると、1965年以来、インフレ率が年間2-4%の時期には、米国企業の実質利益は年率換算で約8.8%拡大してきた(図表2)。世界の企業も、より短いスパンで見れば同じような傾向を示している。だが、今のような環境の中で、企業は利益成長を維持できるのだろうか?利益を測る指標は、それが難しいことを物語っている。現在、世界の企業の利益率は過去最高水準から低下し始めたばかりで、利益はさらに落ち込む可能性があることを示唆している。今後は高水準にある利益率、経済成長の鈍化、投入コスト増加圧力が重なり合い、多くの企業では利益が圧迫されると予想される。こうした状況が続いた場合、株式投資家は利益率を維持できる企業を厳選する必要がある。

4. 世界的にばらつきがあるため、地域別の投資を 見直す必要:インフレとその影響は、それぞれの国や地域に異なる影響を与えている。米国株式は過去10年のうち8年にわたり他の株式市場をアウトパフォームしてきたため、投資家は上昇余地が大きそうなグローバル株式へ目を向け直すとABでは考える。しかし、国ごとのマクロ経済状況や、企業の売上高の地域別エクスポージャーが異なっている可能性があるため(以前の記事『グローバル株式: 国境を越えた成長に注目』ご参照)、アクティブ運用の重要性を浮き彫りにしている。 

パッシブ・ポートフォリオは、アンダーパフォームしていながらも回復の可能性が高い国に投資を傾けることはできない。例えば、新興国株式は長期にわたる低迷から回復の兆しを見せており(以前の記事『新興国株式: 回復は本物か?』ご参照)、特に中国株は、経済活動の再開が勢いを増す中、この数カ月はとりわけ好調なパフォーマンスを示している。グローバル・ポートフォリオのアクティブ運用マネジャーは、株価水準が魅力的で、好ましいマクロ経済やビジネスのトレンドによる恩恵を受けそうな世界中の企業にアロケーションを傾けることができる。

5. ボラティリティの高まりはアクティブな防御を正当化:投資家がインフレ率を上回るリターンを得るには株式へのエクスポージャーが必要になるが、今後数年間は市場の変動が一段と激しくなりそうだ。多くのディフェンシブ株式ポートフォリオはリスクを軽減するため、標準的な過去を参考にする、またはルールに基づく投資手法に依存している。しかし、これらはダウンサイド・リスクを抑える最善の方法ではないかもしれない。アクティブ・アプローチは、通常はディフェンシブとみなされないようなさまざまなセクターから選択した、ボラティリティの低い、質の高い株式をあらゆる市場から組み入れることができる(以前の記事『高ボラティリティが続く株式市場:効果的なディフェンシブ銘柄とは』ご参照)。また、ヘルスケアなど単一セクターを対象とするテーマ別のアプローチ(以前の記事『ヘルスケア株: 市場が不安定な時期の「治療薬」』ご参照)も、リスクを低減するための積極的な手段となり得る。

投資家にとって、こうした新たな環境の中で、アクティブ及びパッシブなエクスポージャーをより綿密に検討すべき時期が到来している。これまでうまくいっていた投資手法に依存することは、成功のレシピとはならないかもしれない。インフレ率と金利の上昇は、企業、市場、経済、そしてリターンに多大な影響を与える可能性がある。規律ある銘柄選別に基づくポートフォリオは、今後待ち受ける荒波に備え、確信を持ってアロケーションを強化することができる。

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