6つの指標でソブリン発行体のサステナビリティ(持続可能性)を効果的に評価し、発行体と投資家の双方に示すガイダンスをご紹介します。

サステナビリティの観点から見ると、新興国ソブリン債への投資は先進国と比べると難解かもしれません。多くの投資家は新興国それぞれを精査するものの、それらの債券を比較する際は共通のモノサシを持ち合わせていない場合が多いと思います。市場はニュースに過剰反応しがちで、良いニュースもあれば悪いニュースもあり、両方同時に伝えられることも多々あります。また、膨大で複雑なデータは分析をより難しくし、真の見解を持つことが困難と感じられます。

アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、潜在的な価値を模索する新たな指標を通じて、発行体とサステナブルな投資家の双方にガイダンスを提供するとともに、新興国ソブリン債投資をより一層進化させていきたいと思っています。

6つの指標でサステナビリティを測定

ABは、発行体が投資可能でサステナブルなソブリン債のユニバースに含まれるか含まれないか、様々な諸問題を考慮するため、6つの指標を活用しています。

まず、サステナブルな投資であるかどうかを判断する基準の1つである国際連合(国連)の持続可能な開発目標(SDGs)(外部サイト、英語)は、17項目、さらに169の具体的なサブターゲットで構成されています。その中から、ABは気候、健康、エンパワーメントという広範な投資テーマを代表する6つを選び出しました。この6つには、低排出エネルギー消費への移行、生物多様性、飢餓、乳幼児死亡率、均等な雇用機会、制度的力強さ、などが内包されており、サステナブルな投資判断をする上で有益であるとみています(図表)

ABはこれら6つのサブターゲットそれぞれについて、具体的な指標を定めています。例えば、国連SDGs3.2(健康に関する2つのサブターゲットの1つ)に合致しているとみなされるためには、各国は乳幼児死亡率を、国連が定めた基準である出生児1,000人当たり12人以下まで引き下げることを求めています。この基準値を満たしている国は投資ユニバース全体の約半数あります。

投資可能ユニバースを絞り込むフレームワークの適用

ABでは、国連SDGsの目標に基づく具体性を持った強力な分析フレームワークを構築しました。6つの基準すべてを満たす国を、サステナブルな新興国として投資対象としてみなします。3つまたはそれ以上の基準を満たしていない国は、サステナブル投資ユニバースに含まれません。

ABの分析では、また、6つの基準のうち1つか2つの基準しか満たしていない国は、綿密な調査を行う価値があると考えています。5つ目か6つ目のカテゴリーを改善するためにその国とエンゲージメント*できると確信すれば、その国を投資可能とする可能性もあります。

同基準に対してどの程度投資対象となりえるでしょうか。どれか1つの基準を満たすことのできる国は、全体の半分程度に過ぎず、6つの基準すべてを満たしている国は、先進国を含め、全体の20%にも達しません。

さらに、定められた基準が長期にわたり重要であるため、このフレームワークを満たしている国は、満たすことができていない国に比べ、長期的によりよいリスク・リターンをもたらすとABは考えています。

事例:フレームワークの実践

チリ、ブラジル、フィリピンの3カ国で、このフレームワークを実施してみましょう。

チリは6つの基準をすべて満たしています。チリで進められているサステナブルな開発は、多くの先進国に引けを取りません。例えば、2010年から2019年にかけて、チリは総電力量に占める風力エネルギーと太陽光エネルギーの比率を、約1%から14%に拡大させています。また、森林面積は2000年以降、約15%増加しています。予防可能な乳幼児死亡の減少についても、最近になって国連目標を達成しました。女性の労働参加率も高水準にあります。

ブラジルは森林破壊という重要な基準を満たしていません。2000年以降、ブラジルの森林面積は10%減少しましたが、その主因はアマゾンの熱帯雨林が破壊されつつあることです(アマゾンの熱帯雨林は1970年以降、20%近く破壊されている)。ABのフレームワークでは、ブラジルと積極的に関わり、必要な改善を促す必要があることを示唆しています。

それでも、ブラジルは他の多くのサステナビリティに関する基準で、世界をリードしています。例えば、総電力量に占める風力発電と太陽光発電の比率を0%前後から10%に引き上げたほか、予防可能な乳幼児死亡率に関する国連の基準を満たし、女性の労働参加率もかなり高い水準にあります。

一方で、対照的な例はフィリピンです。フィリピンは3つの基準を満たしていません。ダイナミックな経済や投資適格級の格付けを得ているにもかかわらず、ABのサステナブル・ユニバースには含まれていません。2010年から2019年にかけて、フィリピンはエネルギー全体に占める風力発電と太陽光発電の比率をわずかに引き上げましたが、それでも全体の2%にとどまっています。また、同国は予防可能な乳幼児死亡率の引き下げにも取り組んできましたが、現在のペースでは2030年までに国連目標を達成できそうにありません。女性の労働力参加率も基準を下回っています。

サステナブルなフレームワークの利点

このフレームワークは、サステナブルな投資ユニバースを定義する既存の多くのアプローチとは異なり、世界銀行などの中立的な情報源から収集したデータを用いて、シンプルで透明性の高い客観的なアプローチを取り入れています。

しかも、相対的な基準ではなく絶対的な基準を用いているため、多くの国がより多くの基準を満たすようになるのに伴い、投資可能なユニバースが拡大します。それに加え、6つの基準のうち5つは将来を見据えた指標であるため、その国の現状(静的基準)だけでなく、今後の方向性(動的基準)も評価することができます。また、このアプローチにより、重要で関連性の高い問題について、的を絞った効果的なエンゲージメントを行うことが可能となり、発行体が「ほぼ適格」から「完全に適格」に移行するのを促すことができます。

最後に、サステナブルなソブリン投資に関するABのフレームワークは、投資家の目的や意図に合致したものであると信じています。世界中のサステナブルな慣行を改善することが目標だとすれば、ABのフレームワークによって効果的かつ信頼性が高いサステナブル投資が拡充していくことを願っています。

*ABは、エンゲージメントがお客様にとって最善の利益であると考える場合に、発行体とエンゲージメントを行います。

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら
 

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当資料は、2023年11月9日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 

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