非流動性プレミアムと運用会社のスキルが重要な役割を果たす可能性がある。
現代のポートフォリオでは、多くの投資家が高いリターンと分散効果(パブリック市場からの分散など)を追求する中で、プライベート市場への配分が不可欠になっている。しかし、流動性の低さが単なる理論上の問題ではないことが最近のファンドの解約によって確認され、流動性を犠牲にすることのメリットが問われている。そのメリットは複数存在するとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は考えているが、投資家はそれに伴うトレードオフを理解する必要がある。
プライベート・クレジット:プライベート市場の事例研究
プライベート市場における流動性、市場へのエクスポージャー、運用会社固有のリターンとの間のトレードオフについて理解を深めるため、ABはプライベート・クレジット市場の分析を行った。プライベート・クレジットのリスク・リターン特性はパブリック・クレジットと比較しやすいため、こうしたトレードオフの分析に適しているとABは考える。また、プライベート・クレジットには複数の投資形態があり、それらを比較することでリスク・リターン特性を把握することができる。通常、リターンの源泉は同じでも、流動性と価格形成の仕組みに違いがある。
ABは統計的分析によってパフォーマンスのパターンを比較した。ただし、プライベート資産は頻繁に価格が更新されるわけではなく、市場の動向を遅れて反映することが多いため、その点を調整して分析を行った。その結果、プライベート・クレジットのリターンはクレジット市場全体に連動するものの、その程度は多くのパブリック資産より小さいことが示された。この傾向は、さまざまなプライベート・クレジット指数、及び上場・非上場の事業開発会社(BDC)の間で一貫して見られた。
プライベート・クレジットのアルファ
では、投資家はプライベート市場で実際どれほどの市場リスクを負っているのだろうか。どの程度のリターンがアルファ(運用会社のスキル)によるものだろうか。
ABのリサーチでは、長期的なプライベート・クレジットのリターンのうち、市場要因で説明できる部分の割合が半分に満たないことが示された(図表1)。残りの非市場要因には、融資審査の質、運用会社の判断、レバレッジ、ソーシング能力、ポートフォリオ構築力が含まれている可能性がある。
つまり、プライベート・クレジットのリターンは、その全てがアルファというわけではなく、単なる「隠れたベータ」というわけでもない。むしろ、市場全体へのエクスポージャー、非流動性プレミアム、運用会社固有のスキルのすべてが重要な役割を果たす、ハイブリッドなリターンであると言える。

運用会社のスキルが結果を左右する
また、プライベート・クレジット市場には、パブリック市場へのエクスポージャーでは説明できないプレミアムが持続的に存在することもABは確認している。その一部は、低流動性資産を保有することの対価と考えられるが、案件のソーシング能力、融資審査の質、レバレッジ管理、問題案件への対応力、ポートフォリオ構築力といった、運用会社固有の構造的な優位性に起因する部分もあると考えられる。
クレジット市場全体の動向がリターンに影響を与えることは確かだが、ABの分析では、運用会社のスキルによってアルファが創出されていることも分かっている。また、運用会社ごとのリターンのばらつきが非常に大きいこと(図表2)を踏まえると、プライベート市場ではスキルが一層大きな役割を果たしているようである。対照的に、パブリック株式及び債券では、運用成績上位25%と下位25%のファンドのリターンの差が年間でわずか数パーセントポイントに過ぎない場合もある。

このようなリターンのばらつきは、プライベート市場のリターンが運用会社のスキルに特に大きく依存していることを示唆しており、運用会社の選定は、プライベート市場への投資において運用成果の優劣を分ける最大の要因の一つとなっている。
補完的なクレジット・エクスポージャーの構築
以上の考察から得られる投資家への示唆は明らかだとABは考える。すなわち、パブリック市場が日々の流動性を提供し、市場全体へのエクスポージャーを得るための最も効率的な手段であり続ける一方で、プライベート市場は、非流動性プレミアムと運用会社による価値創出を通じてリターンを高める可能性を提供する。もちろん、こうした投資機会には、重大なトレードオフが伴う。つまり、低い流動性と、高いマネジャー・セレクション・リスク(運用会社の選択次第で投資成果が大きく左右されるリスク)を受け入れる必要がある。
結論としては、プライベート市場がパブリック市場より優れているというわけでも、その逆でもない。むしろ、それぞれの市場が異なるリスクとリターンの組み合わせを提供している。
ポートフォリオの資金の一部を低流動性資産に割り当てて長期投資を行う意思のある投資家であれば、プライベート市場へのエクスポージャーを加えることで大きなプレミアムを獲得できる可能性がある。しかし、その際には運用会社を慎重に選定することが不可欠だとABは考える。
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
オリジナルの英語版はこちら
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2026年6月2日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
当資料についてのご意見、コメント、お問い合せ等はjpmarcom@editalliancebernsteinまでお寄せください。
「オルタナティブ」カテゴリーの最新記事
「オルタナティブ」カテゴリーでよく読まれている記事
アライアンス・バーンスタインの運用サービス
アライアンス・バーンスタイン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号
https://www.alliancebernstein.co.jp/
- 加入協会
-
一般社団法人資産運用業協会
日本証券業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
当資料についての重要情報
当資料は、投資判断のご参考となる情報提供を目的としており勧誘を目的としたものではありません。特定の投資信託の取得をご希望の場合には、販売会社において投資信託説明書(交付目論見書)をお渡ししますので、必ず詳細をご確認のうえ、投資に関する最終決定はご自身で判断なさるようお願いします。以下の内容は、投資信託をお申込みされる際に、投資家の皆様に、ご確認いただきたい事項としてお知らせするものです。
投資信託のリスクについて
アライアンス・バーンスタイン株式会社の設定・運用する投資信託は、株式・債券等の値動きのある金融商品等に投資します(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)ので、基準価額は変動し、投資元本を割り込むことがあります。したがって、元金が保証されているものではありません。投資信託の運用による損益は、全て投資者の皆様に帰属します。投資信託は預貯金と異なります。リスクの要因については、各投資信託が投資する金融商品等により異なりますので、お申込みにあたっては、各投資信託の投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等をご覧ください。
お客様にご負担いただく費用
投資信託のご購入時や運用期間中には以下の費用がかかります
- 申込時に直接ご負担いただく費用…申込手数料 上限3.3%(税抜3.0%)です。
- 換金時に直接ご負担いただく費用…信託財産留保金 上限0.5%です。
- 保有期間に間接的にご負担いただく費用…信託報酬 上限2.068%(税抜1.880%)です。
その他費用:上記以外に保有期間に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。
上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、アライアンス・バーンスタイン株式会社が運用する全ての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しております。
ご注意
アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略や商品は、値動きのある金融商品等を投資対象として運用を行いますので、運用ポートフォリオの運用実績は、組入れられた金融商品等の値動きの変化による影響を受けます。また、金融商品取引業者等と取引を行うため、その業務または財産の状況の変化による影響も受けます。デリバティブ取引を行う場合は、これらの影響により保証金を超過する損失が発生する可能性があります。資産の価値の減少を含むリスクはお客様に帰属します。したがって、元金および利回りのいずれも保証されているものではありません。運用戦略や商品によって投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国等が異なることから、リスクの内容や性質が異なります。また、ご投資に伴う運用報酬や保有期間中に間接的にご負担いただく費用、その他費用等及びその合計額も異なりますので、その金額をあらかじめ表示することができません。上記の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。





