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利益だけを見ていても成長企業はわからない

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フランク・カルーソ 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用 最高投資責任者
 

 

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2017年4月10日

 
 
 
決算発表シーズンが本格化する中、市場の目は相変わらず利益にくぎ付けになっている。だが、利益の数字は企業の一部しか映し出していない。長期的な成長を達成できる企業を見つけ出すためには、もっと異なる方向から光を当てる必要がある。
 
ニュースの見出しを見ていれば、多くの投資家が利益こそが最も重要な数字だと考えていることが分かる。新聞の紙面には、「タイムワーナーは市場予想を上回る利益」、「予想を下回る利益を受けホールフーズ株が下落」、「コカ・コーラの利益は5%減」といった見出しがあふれている。
 

利益が最も優れたバロメーターか?

しかし、企業の真の収益力を判断する上で、利益が最も優れたバロメーターであるとは限らない。利益の数字は、経営者がいかに効果的に資本を配分したのかについては教えてくれない。企業の収益構造の質に関する情報も与えてくれない。利益だけを見ていても、長期にわたって株主に価値をもたらしてくれる企業を本当に見極めることはできないのだ。
 
企業の収益力を把握するには、ファンダメンタルズに基づいたリターンを見るのが1つの方法で、はるかに優れたヒントを提供してくれる。企業リサーチを行う上で、投下資本利益率(ROIC)や総資産利益率(ROA)をより重視すれば、投資家は企業が利益を創出するために資金を賢明に投じているかどうかを判断することができる。米国株式市場において、ROAの高い企業のパフォーマンスが、1株当たり利益(EPS)成長率の高い企業やラッセル1000グロース指数のパフォーマンスを過去25年以上一貫して上回ってきたのは、それが理由である(図表1)。
 
 
高ROA企業は長期的にアウトパフォーム.png
 
 
 
 

資本コストは重要

市場では、企業の株価を左右するのは将来の利益に関する投資家のセンチメントだというのが一般的な考え方となっている。だが、本当にそうだろうか。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、最も重要なのは企業が利益を1単位生み出すために投じた資本(それが金融資本であれ実物資本であれ)の額だと考えている。経営陣が投資する資金は、結局のところ株主が自ら投資した方が良かったかもしれない資金なのである。そのため、株価が長期的に良いパフォーマンスを達成するためには、企業のROICが「資本コスト」(=株主が自らの投資に求めるリターン)と呼ばれる一定の基準を上回っていなくてはならない。
 
資本コストというのは分かりにくい。それは企業の報告書には記載されていないが、あらゆるところに影響を及ぼす。例えば、企業が大規模な買収を発表した際に、その買収により足元のEPSが増加するにも関わらず株価が下落することがある。その場合、投資家は非効率的な投資に対して反応を示したことになる。資本コストを意識しない企業は、積極的な自社株買いから急速な資産拡大にいたるまで、あらゆる手段 を駆使してEPSの増大を図る。このような低リターン/高成長戦略を追求する企業は、最終的にはその無謀な行為の代償を払わざるを得なくなる。
 

バランスシートを無視すべからず

利益ははるかに見やすい。だが、利益成長率は業界の景気循環的な回復や会計手法の変更、あるいは金融エンジニアリングなど、本業とは何の関係もない要因に左右される可能性がある。しかも、利益にはビジネスの健全性や長期的な成長力に関する重要なシグナルとなり得るバランスシートの状況は反映されない。
 
例としてスポーツウェア・メーカーであるアンダーアーマーについて見てみよう。2013年末以降、好調な販売を背景に利益が年20%の伸びを示したことを受け、同社の株価は力強く上昇した。しかし、多くのアナリストは重大な問題を見逃していた。それは資産が年35%のペースで増加していたことである。その結果、限界利益は減少し、売上高が増えれば増えるほど利益率が縮小していった。ROAが2013年末の16%強から2016年には11%程度に低下する(図表2、左図)一方で、資産規模は倍増した。利益の伸びはそれに追いつけず、資産の拡大を賄うことができなかった(図表2、右図)。その結果、増えた資産の利益率は資本コストの7%を大幅に下回る水準に落ち込んだ。つまり、同社は利益を増やしながら悪い投資を行うことによって、価値を破壊したのである。やがて市場もそれを認識し、2015年末以降は株価が下落した。
 
 
 
 
ケース・スタディ:ナイキ 対 アンダーアーマー.png
 
 
 
 
これとは対照的に、ナイキは過去10年間、ROAを極めて高い水準に維持してきた。同社は消費者に近い場所でカスタマイズされた商品を生産できる新たな自動生産テクノロジーに投資することによって、着実なリターンを創出してきた。ナイキはそうした手法を通じ、輸送コストや関税を節減し、収益性を高めている。その結果、同社の株価は過去数年間に力強く上昇している。
 

潤沢なキャッシュフローは健全なビジネスを示唆

もう一つ別の考え方もある。利益が同じ程度の伸びを示している2つの企業があるとしよう。他の条件がすべて同じならば、少ない資本で利益を伸ばしている企業の方が好ましいことは明らかだ。なぜなら、その企業はより多くのフリーキャッシュフローを生み出しているからである。ROAが高いそうした企業の株価は、伝統的な成長要因との相関性が比較的低くなる傾向にあることから、他とは異なるパフォーマンスのパターンを求めている投資家にさらなる恩恵をもたらしている(図表3)。
 
 
 
伝統的成長要因とは異なる特性を有する高ROA企業.png
 
 
 
利益が重要ではないと言っているわけではない。しかしながら、利益の数字だけを特別視すべきではない。利益の質について意義ある結論を導き出すためには、企業の損益計算書、バランスシート、事業環境に照らして利益の数字を理解する必要がある。収益性や投資リターンに焦点を当てれば、成長の勢いが一時的なものに終わる企業と、決算のブレがもたらす一時的な影響を乗り越えられる長期的な潜在成長力を持った企業を見分けることがより容易になる。
 
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

https://blog.abglobal.com/post/en/2017/02/earnings-mislead-investors-in-quest-for-growth

 

 

 

 

 

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当資料は、2017年2月23日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 

 

 

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