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新興国投資で(ほぼ)見過ごされている3つのポイント

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鈴木 清一郎
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用
ポートフォリオ・マネジャー
 

 

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2017年6月22日

 
 
 
新興国株式市場は、グローバルな投資家にとって可能性の宝庫だ。しかし、優れた投資先というのは、思いがけない場所にあることも多い。本稿では、もっと注目を集めても良いのではと思われるテーマを3つ取り上げたい。
 

1.欧州で新たな製造業ハブが勃興 

ドイツ製造業の生産ラインの延長として、ポーランド、ハンガリー、チェコといった中欧諸国が経済再生の途上にある。こうした旧共産圏諸国は、活気あふれる製造業ハブへと変貌しつつあり、素材や部品の供給のみならず、自動車の最終組立や重工業も成長している。ドイツの製造業セクターを始めとするユーロ圏経済の回復による需要拡大を受け、この地域の鉱工業生産は過去1年間大幅な回復を見せている(図表1)。 
 
 
 
中欧諸国の製造業はドイツの需要が追い風に.png
 
 
このような中欧諸国の経済回復に投資する足がかりとしては、金融サービス銘柄に魅力的な機会がある。欧州債務危機やその後の景気後退によって大量の外貨建て企業債務や住宅ローンが不良資産化したことから、中欧の銀行は大きな損失を被った。しかし、経済活動が活発化し、バランスシートの改善も進んだため、銀行貸出は伸び率を高め、利ざやも拡大すると見られる。不動産価格の上昇や、かつてないほどの低失業率(実質所得の拡大に寄与する)、インフレ率回復を受けた金利上昇なども追い風となろう。さらに、MSCIエマージング指数に占める中欧銘柄のウェイトは2%未満に過ぎないことから、インデックス運用ではこうした投資機会の恩恵を十分には受けることは出来ない。
 

2.iPhone 8が生み出すスーパーサイクル  

アップル社のiPhoneが誕生してから今年でちょうど10年になる。このため、今秋は記念すべき年にふさわしいイノベーションを満載した新機種、iPhone 8が発売されるという期待が高まっている。関係筋によると、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、3Dセンサー、全面ガラス製ボディ、垂直型デュアルレンズ・カメラ、ワイヤレス充電といった最先端の装備が搭載されるようだ。
 
この新製品の登場によって、アジアのテクノロジー産業のサプライチェーンには大きな変動が予想される。陳腐化した技術は退出を迫られ、最先端企業が躍進する。たとえば、OLEDディスプレイの採用により、従来の液晶では不可欠だったバックライトが不要になるし、ガラス製ボディの普及により、近年のスマホ業界で一世を風靡した金属製ケーシングも勢いを持続するのが難しくなるかもしれない。このように業界内で勝ち組と負け組が選別されてしまうため、新しいテクノロジーやそれによる競争環境の変化をよく理解することが投資において極めて重要になる。 
 

3.新興国で躍進するグローバル・ブランド  

世界経済が成長を持続する中、魅力的な新興国での投資機会の一部は新興国企業以外で生じる可能性がある。それは新興国投資ではないと考える投資家もいるだろうが、慎重に投資先を選択すれば、新興国で成功しているグローバル企業への投資は、新興国経済の成長を捉える上で有力な手段だと言えよう。投資家は常にオープンな心構えで、グローバルなレンズを通して投資機会を評価するべきだ。また、こうしたグローバル企業は一般的に、コーポレート・ガバナンスという面で新興国の同業者よりも進んでいることが多い。
 
グローバル・ブランドと新興国消費者の相思相愛の関係は今後も続くであろうから、何が消費者の好みや願望に訴えているのかをよく理解することは重要だ。そうすることで、安定的なキャッシュフローを生み出し、株主還元にも前向きな、新興国重視型の多国籍企業を発掘することができる。そうした企業は、家庭用品や日用品、スポーツ/レジャー用品、ファーストフード店など、幅広い分野にわたって存在する。高級ブランドでも、あてはまる企業は多い。
 

高級品市場の成長  

アジア、ラテンアメリカ、ロシア、中東などの新興国の裕福な消費者は、高級自動車、ブランド物の腕時計や革製品、宝飾品、ワイン、蒸留酒、化粧品などを大量に買っている。このため、コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーでは、そうした国々の消費者が世界の高級品市場に占める割合が、2016年の40%から2020年には50%に拡大すると予想している。モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH=クリスチャン・ディオールやジバンシーなどを保有)、リシュモン(カルティエなどを保有)、グッチ、エルメスといったヨーロッパの伝統的なブランドは、模倣することが不可能な価値を創り上げている。こうしたブランドは急成長を遂げる新興国の大都市に店舗を拡大し続けると共に、オンラインでのプレゼンスも高めている。さらに、そうしたブランドの成長のかなりの部分は、引き続き新興国の富裕層が海外旅行に出かけた際のショッピングによるものである可能性も高い(図表2)。どの企業がそうした成長機会を捉えることが出来るのかを見極めるためには、ファンダメンタルズをしっかりすると調査することが役立つ。
 
 
中国の消費者は海外旅行で高級ブランド品を購入.png
 
 
 

幅広く投資機会を探る  

新興国経済の構造変化は新たな成長源や成功を生み出している。また、企業のファンダメンタルズ改善が進み、株価バリュエーションも先進国に対し割安であるため、新興国株式市場には魅力的な投資機会が広がっている。投資機会に事欠くことはないが、選別的に投資することは重要だ。潤沢なキャッシュフローを生み出す安定的なビジネスモデルや健全なバランスシートを重視すると共に、株価バリュエーションを見据えた安定型投資は、時に変動性が大きく高まる新興国市場で相場の乱高下を乗り切る上で有効な戦略だ。
 
 
 
 

 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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当資料は、2017年6月6日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

 

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