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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.30 トランプ政権に対する失望は時期尚早

2017年04月14日

最も割高になっている金融資産は何か

①米国株 vs 米国長期金利.jpg

3月半ば開催のFOMC直前に、米10年国債利回りは2.6%台まで上昇。

 

その後、オバマケア代替法案のとん挫などのトランプ政権に対する疑念が浮上したことなどから、再び低下に転じた。更に北朝鮮やシリアを巡る地政学リスクの高まりもあって、安全資産である米国債が買われ、4月に入り2.3%前後まで低下している。

 

市場のリスク回避姿勢の強まる中で、米金利低下をうけて、ドル円は109円台まで下落している。2016年11月に始まった株高・金利上昇・ドル高などの、いわゆるトランプ相場が転換するとの見方が市場の一部で強まっている。

村上コメント

地政学事情によるテールリスクが、市場心理を悪化させるのはやむを得ず、目先はそうした状況が続くでしょう。一方、その結果、ファンダメンタルズからかい離する価格形成が起きている可能性があります。現在割高になっている金融資産の一つは、米国債とみています。

景気回復による業績改善が株式市場を下支え

②製造業購買担当者指数.jpg

3月グローバル製造業購買担当者指数(PMI)は53.0と、前月(2月53.0)と同水準を維持した。

 

内訳をみると先進国がやや低下したが、新興国の景況感指数が上昇。2016年1-3月に製造業の景況感は下げ止まり、2016年後半から米国・中国を中心に回復が鮮明になっている。非製造業セクターを含めた全産業ベースでの景況感指数は53.8と、前月(2月53.4)から再び改善しており、高水準を保っている。

 

米国を中心とした経済の復調は、停滞していた中国など新興国などでも幅広くみられている。景況感指数の改善とともに、世界の貿易数量指数も2016年末から増加に転じつつある。

村上コメント

金融市場は、地政学リスクに神経質になる一方で、世界経済は順調な回復が続いています。

4月に発表される、2017年1-3月の企業業績は総じて上振れるとみられ、世界の株式市場を支えるとみています。

安全通貨の異なる値動きに注目

③米ドル円 vs スイスフラン.jpg

4月に入り、地政学リスクの高まりが市場心理を悪化させている。

 

トランプ政権が対シリア政策を転換、化学兵器を使ったとされるアサド政権への報復としてミサイル攻撃を行った。アサド政権の後ろ盾となっているロシアと米欧との関係はトランプ政権で改善するとの期待が覆され、再び緊張しつつある。

 

更に予想外のリスクとして浮上しているのが北朝鮮を巡る米国の対応である。ミサイル実験を続ける北朝鮮に対して、トランプ政権は軍事的なコミットメントを強めている。こうした行動には、北朝鮮の後ろ盾となっている中国に対して、トランプ政権が強硬な外交姿勢を示していることが、背景の一つとみられる。

 

 

4月に入りリスク回避姿勢の強まりで、ドル円は109円台まで円高が進んだ。一方、同時期に安全資産とされるスイスフランはフラン安となり、両者の動きはかい離している。

村上コメント

安全通貨と位置付けられる円とスイスフランは、地政学リスクが意識された4月から異なる値動きをみせています。

地政学リスクに対するドル円の反応が大きく解釈は難しいですが、市場のリスク回避姿勢が和らぐことは、ドル円相場の方向を大きく変える可能性が高いとみています。

 

経済のお天気予報

Vol27-Global-Map.jpg

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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