先日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のウェブサイトに新興国投資に危機が迫っているというブログ記事が掲載されていた(『Emerging Markets Are Under Threat』(英語)ご参照)。しかし、投資家は短期的な現象に惑わされないようにすべきであろう。過去の実績を振り返れば、2017年に底打ちしたばかりの新興国株式市場における上昇相場や下落相場のサイクルは、もっと長いタイムスパンに及ぶことが多いのだ。
過去2年近くの上昇相場を経て、新興国株式は2018年に入り勢いを失ったかに見える。WSJ紙の記事は、新興国の通貨、株式、債券が米ドル高、米国金利上昇、世界経済の先行き不透明感などに圧迫されていると説明している。
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、そのような要因に対する足元の市場変動は行き過ぎであると見ている。経常収支や対外債務の改善などにより、現在の新興国市場はかつてと比べはるかに外的ショックへの耐性が強まっていると考えているからだ。さらに、新興国株式は、各国の国内経済環境の改善や、長期的成長ドライバーの発達、企業収益源泉の多様化などの恩恵も受けている(以前の記事『2018年に新興国株式に投資すべき5つの理由』ご参照)。
これまで、新興国株式は比較的長期間にわたるサイクルで先進国株式に対しアウトパフォームやアンダーパフォームを繰り返してきた(図表)。2016年に底打ちした直近のアンダーパフォーム期は8年間に及んだし、その前は9年近くにわたりアウトパフォームした。
もちろん、そうした過去の傾向が今回も繰り返されるという保証はない。しかし、新興国株式は株価予想収益率(翌期の収益予想に基づくPER)で見ると先進国株式よりも23%も割安な水準にある。したがって、当面荒れた相場が続くとしても、いずれ回復する力はあると考える根拠は十分にあるだろう。
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
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