インカム収入を犠牲にせずにボラティリティを引き下げたい場合、短期のハイイールド社債への投資が検討に値するとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は考える。

政策を巡る不確実性と強弱まちまちな経済指標が引き続き金融市場を揺るがし、ボラティリティが高まっている。ボラティリティの上昇はハイイールド社債の投資家を不安にかきたてるかもしれないが、同セクターには引き続き投資妙味があるとABは考えている。投資家は満期までの期間が短い債券に焦点を当てることで、インカム収入を得る可能性を犠牲にせずにポートフォリオのボラティリティを引き下げることができるからだ。

高利回りと低ボラティリティ:強力な組み合わせ

通常の環境においても期間の短いハイイールド社債への投資戦略は高水準のインカム収入をもたらすが、短期の債券はやはり長期の債券に比べると利回りが低くなる。しかし、現在は米国国債や社債のイールドカーブがフラット化しており、短期ハイイールド社債の利回りは中・長期のハイイールド社債よりもむしろ高くなっている(図表1)。これは歴史的に多かった環境とは大きく異なる現象だ。

ハイイールド社債の利回り水準は過去15年の水準に比べ全般的に高くなっている。5年間投資した場合に得られるリターンを予測するにあたり参考になる指標とされる「最低利回り」は、現在、株式に10年間投資した場合のリターンに関する多くの予想を上回っている。高い利回りは市場のボラティリティに対する緩衝材となり、2025年4月に関税を巡る懸念からハイイールド社債のスプレッドが大きく拡大した際も、同セクターは株式市場を上回るパフォーマンスを示した(以前の記事『ハイイールド社債:ボラティリティの高い環境でこそ真骨頂を発揮する』ご参照)。

短期のハイイールド社債はスプレッドの変化に対する感応度が低いため、長期のハイイールド社債よりもリスク特性が魅力的である。投資家は投資期間が短ければ財務リスクをより明確に把握できるため、デフォルトリスクがある短期債は比較的容易に避けることができるのだ。通常であれば、こうしたメリットを得るためには、その見返りとして利回りを犠牲にせざるを得ない。しかし現在は、短期のハイイールド債に投資する投資家は、低いリスクでより高いリターンを得ることができる。

短期の債券は下落余地も小さい

満期までの期間が短いハイイールド社債は、市場のボラティリティが高まっている場面で本領を発揮する。過去における株式市場の調整局面では、短期ハイイールド社債の下落幅はハイイールド社債の下落幅の約4分の3にとどまり、株式の下落幅に比べれば半分以下にすぎなかった(図表2)。

ABの分析も、期間の短いハイイールド社債はリスク選好度の高い環境においてハイイールド市場全般の上値余地をほとんど享受できており、市場サイクル全体を通じて高いリスク調整後リターンをもたらす可能性を示唆している。

クレジットの選択が重要

当然ながら、ボラティリティが高まればクレジットの発行体の間でパフォーマンス格差が広がる可能性があるため、運用者は銘柄の選択について慎重な判断が求められる。関税は一部の企業に恩恵をもたらすかもしれないが、他の企業には不利に働く可能性があり、成長の鈍化は景気敏感な業種や格付けがCCCの債券にとりわけ大きな問題をもたらすため、アクティブ運用の重要性が高まっている。

現時点では、景気循環に影響を受けにくいセクターと格付けがB以上のハイイールド債に最も魅力的な投資機会があると思われる。我々の見方では、これらはデフォルトリスクが著しく高いCCC格付けの債券よりも経済的ショックに対する耐性が強い。実際、歴史的に見れば、格付けがBB及びBの期間が短い債券で構成されたポートフォリオは、投資適格等級である格付けBBBの債券と比較してもなおボラティリティが低水準にとどまってきた。

これらすべてを考慮すれば、期間が短いハイイールド社債は、ボラティリティを抑制しながら魅力的なインカム収入を得るタイミングのいい機会を投資家に提供していると思われる。

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。
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