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FRBの金融政策スタンス、一段とタカ派的に

                                                                                                                                                                     

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エリック・ウィノグラド
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
先進国マクロ分析-ディレクター
 
 
 
  
 

2022年2月21日

 
 
米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年1月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の目標レンジを0.00~0.25%に据え置いた。FRBはさらに、量的緩和(QE)プログラムに基づく債券買い入れを3月で打ち切ることを確認した。これらはおおむね予想どおりの結果だった。
 
FRBは予想外の行動は取らなかったものの、タカ派的な姿勢の強さは市場を驚かせた。ジェローム・パウエル議長は記者会見で、利上げが近いとの認識を明確に示したほか、利上げサイクルの規模が大きなものとなることや、バランスシートの縮小に向けて迅速な行動を開始する考えを表明した。
 
1月26日のFOMCが発したメッセージを簡単にまとめると、次のようになる。
 
●  3月の政策金利引き上げはほぼ間違いない。
 
●  それ以降、FOMCのたびに利上げする可能性や、一度に25ベーシス・ポイントを超える幅での利上げを行う可能性は排除されていない。
 
●  労働市場は何度かの利上げを乗り切るだけの力強さがある。
 
●  株式市場の反応は警戒を要するものではなく、FRBの考えを変えるものでもない。
 
●  バランスシートの縮小は迅速に開始し、前回よりも急速かつ大幅に縮小する。
 
これは明らかにタカ派的なシグナルである。数カ月前には、FOMCがこれら全てのシグナルを一度に発信するということは考えにくかったが、今日では特に驚くことでもない。今後数カ月の政策がこれまで慣れ親しんできたものとは大きく異なることを伝えるために、FOMCがこれ以上に他にできることがあったのかどうかは定かでない。
 
FRBにとって次のステップは、今回の論調転換に続いて、具体的な政策行動をとることである。それに関する不透明感を払拭するため、パウエル議長は、状況が変わらない限り「FRBは3月に利上げする考えだ」と述べた。これはFRBとしては異例の明確な意思表明であり、偶然ではない。3月の利上げはほぼ確実だが、パウエル議長は具体的な利上げ規模やペースについては言及せず、必要に応じて大幅または頻繁な利上げを実施する可能性を残している。
 
政策引き締めに向かう道のりは始まったが、インフレの状況が悪化すれば、その足取りは早足ではなく疾走になる可能性がある。
 

労働市場と金融市場の観点

引き締めサイクルを開始した後、その後の利上げがどう展開していくかについても、パウエル議長のコメントはタカ派的で、「労働市場を脅かすことなく利上げする余地は十分にある」と語った。これまで利上げの障害となっていたのは、労働市場が完全雇用に達していないことへの懸念であり、「労働市場は強いだけでなく、何度かの利上げに耐えられるほど強い」と明言したことは、複数回の利上げが待ち構えていることを示す明確なシグナルとなる。
 
パウエル議長は、最近の金融市場の変動がFOMCの考えに影響を与えているかとの質問に対し、FRBは1つの市場だけを見ているのではなく、金融環境の持続的な変化の兆しを探るため幅広い市場をモニターしていると答えた。パウエル議長は、FRBと市場のフィードバック・ループが機能し、政策見通しの変化に応じて金融市場が調整していることに満足の意を表明した。
 
それは必ずしもFRBが株式市場の下落を望んでいることを意味するわけではないが、現時点ではそれを心配していないことを示唆している。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)は、株価の下落が加速した場合にFRBがどこかの時点で介入に乗り出す「フェドプット」があると考えているが、そのポイントは現在の市場から遠く離れている可能性が高い。ABの見方では、株価が持続的にかなり大幅に下落しなければ、FRBに方針転換を促すことは難しそうだ。
 

FRBの短期的な金利見通しを描き出す

ABは強い基本シナリオとして、FOMCが3月に25ベーシス・ポイントの利上げを開始し、6月にも追加利上げを行うと想定している。FRBがより積極的に行動する緊急性を感じているとすれば、3月の利上げ幅を50ベーシス・ポイントとするよりも、5月に25ベーシス・ポイントの追加利上げを行う可能性が高いと考える。特に引き締めサイクルの初期においては、FRBはより大きな動きを試す前に、経済や市場の反応を見極めるために徐々に動きたいと考えるだろう。
 
ABは9月にもさらなる利上げを予想しているが、それ以降については不透明感が強い。ABの予想どおりインフレ率が低下し、経済成長が鈍化すれば、FOMCは今年後半に利上げを休止する可能性が高い。インフレ率が低下しなければ、FRBは経済状況に変化が生じるまで利上げを続けると思われる。
 

バランスシートの縮小:遅くなるよりも早期に

市場はそれに加え、大規模なバランスシート縮小に向けたFRBのゲームプランに強い関心を寄せている。短期的には、FRBは量的緩和を縮小し、債券買い入れは3月上旬が最後になるとみられている。その直後から、FRBはバランスシートの拡大から縮小に舵を切ることになりそうだ。
 
FRBは、バランスシート縮小計画の指針となる基本的な考え方を発表した。この声明は極めて一般的な内容で、FRBがバランスシートの縮小に着手する時期や、そのペースに関する情報は含まれていない。しかし、FRBがこの声明を発表したことは、縮小プロセスを早期に開始する意思を示す強いメッセージとなった。最初の利上げからバランスシートの縮小に着手するまでの期間は、数四半期ではなく数カ月になるだろう。
 
FRBの考え方では、縮小プロセスを予想可能なものとする方針が明確に示されているため、実際に縮小プロセスが開始される前にさらなる詳細が明らかにされそうだ。そのため、ABは引き続き、縮小開始時期は7月になる可能性が最も高く、6月の利上げと同時にそれが発表されると予想している。米国経済の好調な動きを踏まえれば、FRBがバランスシートの縮小に着手した後、前回のサイクルよりも早いペースでそれが進むと思われる。また、バランスシートの規模は絶対額ベースでも、国内総生産(GDP)に対する比率で見ても、2015年から2019年までのサイクルに比べはるかに大きくなっているため、縮小は急ピッチで進むことになるだろう。
 
要するに、FRBは軸足を急速かつ明確に変えたことになる。インフレ状況がさらに悪化しない限り、今後数カ月間は金融引き締めに向けて着実な歩みを進めていくことになりそうだ。実際に引き締めに着手すれば、早足は疾走に転じることになるだろう。
 
 
 
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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