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FRBによる今年そして来年の利上げは無し?

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エリック・ウィノグラド 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 シニア・エコノミスト 
 
 
 

 

 

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2019年4月10日

 
 
3月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ハト派的な結果を予想していた人々さえも驚かせた。米連邦準備制度理事会(FRB)は引き続き政策の枠組みについて議論を重ねるとみられるが、1つ明確になったことがある。それは、年内、そしておそらく来年も利上げを想定すべきではないということだ。
 
わずか6カ月前まで、FOMCのメンバーは政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を2019年は3度引き上げると予想していた。だが今は、年内の利上げはないと見込んでいる。確かにFOMCが公表する経済見通しは悪化したが、その度合いは小さなものに過ぎない。これほど大きな政策見通しの変化を正当化できるものではない。
 
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、こうした急激な変化の背景には2つの要因があると考えている。1つ目は「中立金利」が本当はどの水準であるのかという推測に関する見直しで、2つ目は低すぎるインフレ率があまりに長期化しているという認識である。
 

中立金利が徐々に低下

経済理論では、中立金利とは、外的ショックがないことを前提とした場合に、インフレ率を押し上げも押し下げもしない金利のことを意味する。実際の中立金利がどの程度の水準であるかは、誰も正確には知らない。FRBが最近強調しているように、中立金利はレンジで考えるのが最も望ましい。
 
FOMCが予測する中立金利の中間値は、現在の景気拡大局面において着実に低下しており、2018年の3.75%から現在は2.75%に引き下げられている。そして、一部のメンバーはそれよりも低い可能性があると考えている。この予測には不透明な部分があり、多くのFOMCメンバーは昨年12月の利上げ以降の市場の混乱について、すでに金利が中立水準に到達していることを示すサインだと受け止めているようだ。彼らはインフレ率が上向き、景気過熱の兆しが現れるまで、これ以上の利上げは必要ないと考えている。
 

目標を下回るインフレ率

FRBのスタンスを大きくハト派的に傾けた2つ目の要因はもっと根深い。金融政策への影響力が大きい重鎮の大半を含む一部のFOMCメンバーは、インフレ率やインフレ期待が低すぎると懸念している(図表)。
 
 
インフレ率:実際の物価とFRBが望ましいと考える水準.png
 
 
その論理は単純だ。FRBは景気サイクル全体を通じた平均インフレ率を2%にしたいと考えている。経済が低迷する局面では、インフレ率は2%を大幅に下回る。そうだとすれば、平均で2%を維持するためには、経済環境が良好な局面では2%を上回るインフレ率を目指さなくてはならない。だが、実際はそれが達成できていない。FOMCが注目している物価指標である個人消費支出(PCE)物価指数に基づけば、過去5年間のインフレ率の平均はわずか1.3%で、過去10年間でも1.4%にとどまっている。
 
つまり、インフレ率は平均2%という目標から遠く離れている。
 
インフレ期待を測る市場の指標も低迷している。過去5年間のブレーク・イーブン・インフレ率はそれ以前の10年間に比べ約0.6ポイント低い水準にある。インフレ期待は実際のインフレ率を大きく左右するため、FRBが2%を上回るインフレ率を容認しないと市場が受け止めれば、その水準は自己実現的に上限になるかもしれない。
 

FRBはより高いインフレ率を容認するか?

FRBはこのインフレのメカニズムをどのように修正することができるだろうか? 先のFOMCメンバーたちが考えている様に、その方法は、景気拡大局面においてインフレ率を2%を上回る水準に押し上げることになるだろう。それは、インフレ率が上向き始めても直ちには金利を引き上げないことを意味する。現在はインフレが抑制されているため、予測しうる将来に金利を引き上げる理由は全く見当たらない。
 
FRBがインフレの動向を注視していることは間違いない。FOMCは金融政策の枠組みを見直す委員会を立ち上げている。FRBは景気が好調な局面でインフレ率を押し上げようとしており、見直しの結果はインフレ目標未達分を好況時に「埋め合わせ」する「メイクアップ」戦略への転換となりそうだ。FRBのリチャード・クラリダ副議長は、2月に行ったスピーチでこのアプローチについてほのめかした。そのスピーチは注目されていないが、非常に重要な意味を持っている(「Speech by Vice Chair Richard H. Clarida—The Federal Reserve's Review of It's Monetary Policy Strategy, Tools, and Communication Practices」(英語)ご参照)。
 

年内、そして2020年も利上げの可能性は低い

こうしたアプローチへの理解はまだ完全に浸透していないが、中立金利見通しの低下とインフレ目標レンジ上限の引き上げという組み合わせは、近い将来に利上げが実施される可能性が低いことを示唆している。そのため、現在ABでは、2019年は、そして2020年も、利上げは行われないと見ており、FRBが引き締めモードに戻るには、インフレ率が大幅に上昇する必要があると考えている。
 
 

 
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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