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企業の業績予想がない時、株式投資家はどうすべきか

                                                                                                                                                                     

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フランク・カルーソ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用 最高投資責任者
 
 
 
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アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用 ポートフォリオ・マネジャー
 

2020年6月18日

 
 
新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動中断により、かつてない数の米国企業が業績予想の公表中止を余儀なくされている。株式投資家はどうすればよいのだろうか。アライアンス・バーンスタイン(以下、AB)では、過度に短期的予想の精度を競うゲームから離れ、ファンダメンタル・リサーチを用いた長期的収益力やそれに基づく幅広いシナリオの分析を行うべきであると考える。特に、現在のように不確実性が高まっている時には。
 
2020年1-3月期の決算シーズンを前に、多くの企業が業績予想を撤回した。4月29日までに、時価総額20億米ドル以上の米国企業のうち141社が業績予想を中止しており(図表1)、これは2008年のリーマンショックの最悪期をはるかに上回る。事業環境の不透明性は、あらゆるセクターでかつてないほど高まっている。
 
かつてない数の米国企業が業績予想の公表を中止.png
 
これは多くの市場参加者にとって問題である。企業による業績予想は、投資家が足元の事業環境に関する判断の材料にしていることが多いからだ。長期的観点からの投資を主張する投資家は多いが、一般的な収益予想モデル、翌四半期ないし翌年度といった程度の予想に最適化されている。
 
こうしたモデルは、信じられないほどの細かさで正確性を追求している。なぜか? 四半期ごとに規則的に報告される企業業績に関し、このような短いフィードバック・ループの予測を行うことは、投資結果について正確にコントロールしているような感覚を得られるからかもしれない。投資家の意図がどのようなものであるにせよ、企業側は、自らが達成することができる、あるいは上回ることができる水準の業績を予想することで、このゲームに乗っている(以前の記事『予想外の好決算にはもう驚かない』ご参照)。そうでなければ、2013年4-6月期以降、平均して70%以上の米国企業の四半期業績が予想を上回っていることは説明がつかない。企業は自社の短期的な事業動向に対してある程度見当がつくため、それに基づく証券会社や投資家の予想も精度が高くなるのだ。
 

短期的な予想が不可能に

現在は、この「正確さ」を担保していた条件が崩壊している。景気後退時に企業収益の一貫性が崩れることは珍しくないが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大という外因性ショックとその影響の大きさは、前述のような短期的予想を不可能にしてしまった。企業による業績予想の撤回の範囲は非常に広く、市場による予想もこれまで以上にばらつきが大きくなると考えられる(図表2の左図)。
 
業績予想:大きなばらつきと短期的性質.png
 
しかし、よく考えてみれば、仮に目先の見通しについてより確実性があったとしても、そもそも翌四半期の1株当たり利益といった短期的な指標に頼るのは、全体像を見る上では誤びゅうを生み出す恐れがあるのではないだろうか。ABでは、特定の短期間の予想のみで企業の収益力を測ろうとするのは恣意的ですらあると考えている。
 

業績予想へのアプローチを再考

現在の混沌とした状況は、一度立ち止まって、EPS予想や株価収益率(PER)に基づいて株式を評価することの有効性を問い直す良い機会となるだろう。今日の市場環境であっても、業績予想と実績の誤差だけが問題なわけではない。仮にS&P 500指数の2020年のEPSを正確に予測できたとしても、「今年の業績(前ページの図表2の右図)は市場の長期的な収益力を反映するものではなく、平準化して見るべきだ」と合理的な投資家なら誰でも主張するであろう。言い換えれば、予想した数字の「結果としての正確さ」は、その妥当性を証明するものではない、ということである。
 
2021年が正常な年になるかどうかは誰にもわからない。しかし、予測の地平線を数年後ろにずらしてみれば、短期的な変動要因やノイズの影響を減らすことができる。また、事業の本当の長期的成功に基づいてその価値を評価できるようにもなる。筆者の運用チームでは、今後10年間にわたる収益力を評価し、それに基づくシナリオ分析を行うことがより適切な収益予想の手法だと考えている。
 

不確実性に対処するための確実性のモデル化

もちろん、このアプローチでも別の不確実性が生じる。しかし、そもそも長期的な投資家は、正確であるふりをするべきではない。遠い地平線上の予想地点に達するまでの不確実性を考慮すると、良い時も悪い時も含めて、収益力や株価の行方に関し蓋然性の高い複数の道筋を検討し、バリュエーションの評価を裏付けるべきであろう。そうすることで、企業の究極的な収益力について分析ができ、また現在の事業モデルの収益ドライバーとして厳しく観察し続ける必要がある項目が何であるのかが浮かび上がる。
 
これは、投資家が足元の業績や問題を無視すべきだという意味ではない。しかし、投資家が基本的な投資テーマやそれに対する確信度を維持する上では、目先の業績を正確に予測する必要は必ずしもないということである。
 
長期的な視野を持つことで、投資家は不確実性が高まった時にも異なる行動をとることができるようになる。多くの企業が業績予想の公表を中止したり、妥当性に疑問のある予想を発表したりしている場合には特にそうだが、EPSのばらつきが大きくなればなるほど、ボラティリティは大きくなるだろう。本来、このような状況は、株式投資家にとっては絶好の条件である。短期志向の投資家がパニックに陥って一斉に救命ボートに駆け込むならば、長期志向の投資家は株価の下落を利用して、長期的収益力のある資産を割安に購入できる。その判断は、短期的な予想を上回るかどうかといった表層的なものではなく、実体的なビジネスの収益力の分析に基づくべきであろう。
 
 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

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当資料は、2020年5月1日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

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