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不動産デットへの投資: 密を避けつつ、マスクは続けよう

                                                                                                                                                                     

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臼井 はるな
アライアンス・バーンスタイン株式会社
責任投資推進室長
運用戦略部 シニア・インベストメント・ストラテジスト





 

2021年8月20日

 
 
米国経済の回復基調が鮮明となる一方で、投資家は新型コロナウイルスの変異株出現やインフレ圧力の高まり、中期的な利上げ期待など、さまざまな変化への対応を迫られている。アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)では、投資適格社債やハイイールド社債といった伝統的クレジット資産からの有効な分散投資先として、魅力的な利回りと比較的手厚い投資家保護が享受できる不動産デット投資に以前から注目してきたが(以前の記事『米国不動産の投資機会⑤:銀行規制の強化に伴い投資機会が拡大しているトランジション・ローン』ご参照)、足元でこの資産クラスの魅力が高まりつつあると考えている。
 
環境変化を受けて、投資家はどのような点を考慮しながら投資をすべきなのか。長引くコロナ禍への対処と同様、分散により密を避けつつ、いたずらに回復期待に依存しすぎない、すなわちマスクを着け続ける姿勢が重要であろう。足元の状況やローンの変化、これから投資を行う際の留意点について改めて整理する。
 
不動産市場調査会社アーバン・ランド・インスティテュートによると、2020年の商業不動産取引額は2019年対比で大幅な減少となったものの、2020年10-12月期以降は回復トレンドが鮮明となり、年央の予想を上回る水準での着地となった。ABが注目する不動産デット、特にトランジション・ローン(商業不動産の改装やテナント入れ替えに伴う資金の貸し付け)についても需要回復が鮮明となる一方、ローン案件の中身はコロナショック前と大きく異なってきている点に注目している。
 
コロナショック前は、堅調な景気と商業不動産価格動向を受け、改装対象であるオフィスビルやショッピングモールの物件取得から改装、そして売却によるエグジットまで、一連のプロセス全体をカバーするローンへのニーズが多く見られた。貸し手にとっては、改装プロセス全体のリスクを精査した上で受け入れる必要があった。また、全般的な借り入れコストの低下を受けて、貸し手にとってローンのリスクを表す指標であるローン・トゥ・バリュー(ローン金額を裏付け物件の価値で割ったもの。高いほどローンのリスクが高い)についても高止まりの傾向が見られていた。
 
コロナショック後、これらの状況は一変した。トランジション・ローンの主な借り手であるプライベート・エクイティ・ファンドが、商業不動産価格が回復しきらない状況での物件売却を避けるために売却タイミングを先送りしたことから、売却までのつなぎ融資としてのローンニーズが発生した。また、パンデミックの影響で改装やテナント確保に遅れが出た案件について、ローンの借り換えを行って改装計画の見直しを行うケースも多く見られた。こうしたローンは、改装プロセス全体ではなく、トランジションの最終局面を主に対象とすることから、裏付けのリスクは相応に低下することとなり、ローンの投資家にとって魅力的な投資対象となり得る。
 
さらに、コロナショックによる一時的混乱が落ち着きつつある一方で、回復動向は物件タイプや地域、借り手ごとに差が出始めており、個別のローン案件を精査して選別的な融資を行う貸し手にとっては腕の見せ所となる局面が到来している。コロナショックの影響が比較的軽微であった家族向け集合住宅やデータセンターといった物件タイプに加えて、足元では高品質のオフィスやライフサイエンスビルディングなどで需要が出てきている。また、一部の地域にとどまってはいるものの、ホテルや小売りといった景気連動性の高い物件タイプについても、徐々に検討に足る案件が出始めている。
 
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トランジション・ローンはプライベート・アセットとしての特色から、貸し手が専門家としてのネットワークを駆使して魅力的なトランジション案件を見つけ出し、リスク分析をしっかりと行った上で適切な組成を行い、分散を通じてローン・ポートフォリオ全体のリスクを低減することが安定した投資リターンを確保する上でのポイントとなる。現在のように、全体的には回復しつつも個別案件による差が大きい環境においては、リスク分析に裏付けられた機動的な融資判断が大きなカギを握るが、これを担保する上で重要なのが借り手との1対1の交渉権を可能な限り確保することだ。複数ではない単独のシニア・レンダーとしての融資を選好し、かつ借り入れによるレバレッジを使用せずに利害関係者を可能な限り減らすことによって、機動的な組み入れや返済計画変更への対応を行うことができる。貸し手にとって最終的な回収価値を最大化するための施策を、他の利害関係者に左右されずに実行できるためだ。
 
市場性クレジット資産の利回りが低水準で推移し、中期的な利上げ観測も強まる中、コロナショック後の回復期待が依然まだら模様となっているトランジション・ローンは密を回避する分散投資先としての魅力を増している。そして、不確実性が再び高まり得る環境下だからこそ、一本調子に回復期待を追いかけるのではなく、マスクの着用、つまりリスクをしっかりとコントロールできる仕組みを確保しておきたいところである。個別案件ごとに異なる環境やリスク特性をしっかりと見極めた上で、貸し手の機動性と柔軟性を担保する仕組みでの投資を行うことが、トランジション・ローンからの安定したインカム確保を実現する上で肝要となろう。
 
 
 
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当資料は、2021年8月10日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が作成した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 
 

 

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