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流動性幻想の消失: 年金基金におけるプライベート・クレジット投資

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マシュー・バス

アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
オルタナティブ戦略 最高執行責任者
 

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2014年10月29日



投資家は、長年にわたり流動性に対してプレミアムを支払ってきたが、近年の市場下落局面において流動性が一瞬で蒸発するさまを目の当たりにしたため、流動性に対する幻想は薄れてしまった。しかし、これは新たな投資機会の誕生と捉えることもできる。

2008年の世界金融危機当時には、米国債のような最も質の高い資産のみが十分な流動性を維持することができた。金融危機が終息すると規制強化が進み、銀行は社債などの資産の保有を制限され、マーケット・メーカーとしての伝統的な役割を縮小させた。同時に社債の発行が急増しているため、社債市場では利回りが歴史的な低水準にあるにも関わらず流動性リスクが顕著になっている。

こうした債券を主な投資先としてきた年金基金のような投資家はどうすればよいのだろうか? ひとつの考え方としては、居住用/商業用不動産担保ローンやインフラ/中堅企業向けのダイレクト・ローンなど、流動性リスクに対するプレミアムが支払われ、高いリターンを実現する可能性のあるプライベート・クレジットへの投資が検討に値しよう。十分なリターンを獲得することは、今後退職する従業員への給付を確保しなければならない年金基金にとっては極めて重要である。

 

オルタナティブからコアへ

金融市場の進化は、流動性が低い代わりに高いリターンを提供し得る資産という選択肢を機関投資家にもたらした。規制強化によりバランスシートの縮小や安全性の強化を強いられている銀行は資金提供者としての役割が減少しているため、資産運用会社、保険会社、特殊金融サービス会社などの代替的な信用提供者による資金提供の機会が増加している。こうした銀行の金融仲介機能の低下は、銀行の規模が比較的大きく、市場におけるシェアの集中度が高い欧州ではまだそれほど進んでいないが、金融危機後に規制強化が進むにつれてこのトレンドは各地域で加速している。

従来オポチュニスティックな投資の対象と考えられてきた資産も、今後は、標準的な債券ポートフォリオのコア部分を担うようになる可能性がある。米コンサルティング会社ケーシー・カーク・アンド・アソシエイツは、(プライベート・クレジットやダイレクト・ローンを含む)「新アクティブ戦略」は、伝統的な投資とオルタナティブ投資の境界線を取り払うものであり、2018年までに3.4兆米ドルの規模に達すると予想され、対照的に1.8兆米ドルの資金流出が予想される伝統的な戦略からシェアを奪うと述べている。

バランスシートが大きく投資ホライズンがより長期的な年金基金は、ダイレクト・ローンの利用や、かつては銀行しかアクセスできなかったハイイールド資産へのエクスポージャー追加により、上述の「新アクティブ」戦略がもたらす投資機会を活用する絶好の立場にある。こうした資産はたいてい長期性の資金を必要とするため、投資家にとっては流動性を犠牲にする代わりに比較的高いリターンと利回りが見込める。

 

より高いリターンを求めて

相対的に高いリターンが見込めるものの流動性が低い資産への投資は、給付金の支払い請求に応じて資産の売買を迅速かつ遅滞なく行う必要がある年金基金にとっては抵抗感があるかもしれない。しかし、現在の金融市場においては高い流動性とされているものが非常に一時的なものであるという事実を受け入れれば、プライベート・クレジットへの投資も選択肢となり得るであろう。

債券や株式への投資において、商業用/住居用不動産担保ローン、インフラ向けローン、中堅企業向けダイレクト・ローンなどの流動性がより低い資産を導入することに関し、年金基金は他の投資家よりも有利な立場にあると言える。低金利環境が続く現在、年金基金はこうした資産にへ投資することによって5%を上回るようなリターンを実現し、長期的な給付金支払いに資することができるかもしれない。

 

金利リスクと信用リスクへの対応

むろん、流動性の低い資産にはリスクもあるが、一般的に考えられているほど危険なものではないと思われる。

一つ目の理由として、新しく台頭してきたプライベート・クレジット資産は変動金利ベースとなっているため、金利上昇局面においてはヘッジの役割を果たし得ることが挙げられる。二つ目に、融資基準は厳格化される傾向にあり、こうした資産の信用力の強化につながっている。このため、プライベート・クレジット資産の多くは、公社債よりも低いデフォルト率と高い回収率を特徴とする。これは、投資機会を直接発掘するプライベート・クレジットの投資家の方がより深いリサーチを行い、厳格な融資条件について交渉し、融資の期間を通して借り手をモニタリングすることによると見られる。

例えば、中堅企業向けダイレクト・ローンは「クラブ融資」とも呼ばれ、複数の信用提供者による大規模な資金提供に基づくものである。このようなローンでは、債務比率が一定の水準を超えた場合により高い利息を要求することができる財務制限条項などによって、貸手は強力なプロテクションを確保できる。中には、借り手の経営が悪化した場合に貸手が経営に関与できる権利を付与する条項が含まれる場合もある。

また、現在、バンクローンやハイイールド債の発行条件が信用サイクルの終盤にあたる水準となっていることも、プライベート・クレジットのリスクを相対的に低いものにしている。それに対し、商業用/住居用不動産担保ローンの市場は過去と比べてさほど高くない水準にあるためクレジットの需給にギャップが生じている。このため、代替的な信用提供者にとっては、借り手の資金ニーズを満たし、かつ魅力的なリスク調整後リターンを追求できる投資機会が生じている。

 

時間は宝

従来と異なる資産への配分を増やすには時間が必要となる。大手の機関投資家がハイイールド債に10億米ドルを投資することを決めた場合、その取引の完了に要するのは数ヶ月程度であろうが、プライベート・クレジットの場合は数年を要する可能性もある。厳密なリサーチによって投資機会を発掘し確信を得るには時間がかかる。それでも、債務が長期的な性格である投資家は、十分な時間をかけられる。

給付のためのキャッシュフローのニーズが高まる一方でそれを賄う運用先が不足している米国や欧州の大型年金基金にとっては、今プライベート・クレジット市場に目を向けることが、将来の給付のニーズを一部満たすことにつながる可能性がある。

 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

http://blog.alliancebernstein.com/index.php/2014/10/08/the-liquidity-illusion-pension-funds-should-rethink-fixed-income/

 

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当資料は、2014年10月8日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。
 

 

 

 

 

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