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企業年金改革によりDC加入者の運用内容は 改善するのか? 第1回(全2回) 「選択重視」から「結果重視」へのシフト

 

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後藤 順一郎

アライアンス・バーンスタイン株式会社
プロダクト・マネジメント部 ディレクター
DC推進室長 兼 アライアンス・バーンスタイン未来総研ディレクター



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2015年1月14日

 

2014年6月以降、社会保障審議会の企業年金部会(以下、企業年金部会)において企業年金改革に関する議論が行われている。中でも、確定拠出年金(以下、DC)を老後資金の形成ツールとしてより使いやすくするための案が積極的に検討されている。

具体的には、個人型DCの対象者範囲を専業主婦や公務員に拡大する、中小企業がDCを導入しやすいよう簡易型を創設する、そして掛金の拠出限度を定額ではなく所得比例にする等の多岐にわたる改革案が国から提示されている。これまでは、これらの改革案のようにDC「制度」の見直しに関するものが中心だったが、11月18日および12月15日の企業年金部会では、DCの「使い方」を改善するための改革案、すなわち投資教育や運用の在り方を改善するための案が議論されている。

これらの改革案は、一言でいえば日本のDCをDC先進国である米国や英国に似た制度にするということで、現在、非常に関心を集めている。今回は、まず改革案の中から投資教育や運用の在り方を改善するための案について解説し、次回はそれらに対する私の見解を述べていきたいと思う。

運用改善に向けた取組として、国から多くの案が挙げられているが、ここではインパクトが大きいと思われる以下の3点について触れることにする。

 

①    DC加入者の投資知識等の向上

確定拠出年金法では、DC加入者に対し「資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置」を講ずることが事業主の努力義務となっており、投資教育はこの措置の一環として行われている。投資教育には、導入時教育と継続教育があるが、現在は、導入時教育は努力義務となっている一方で、継続教育は配慮義務と一段低い義務となっている。このため導入時教育は実施率が100%であるのに対し、継続教育は半分程度の割合でしか実施されていない。継続教育の場が、DC加入者を行動に促すきっかけとなる場合もあるため、これを努力義務へ引き上げ、多くの企業で投資教育を実施してもらおうという案が出ている。DC加入者にとってはありがたいことかもしれないが、DC実施企業にとっては負担が増えることが想定される。

 

②    運用商品提供数のあり方

運用商品の数も議論になっている。現在、平均的な運用商品数は約18本(2013年調査)となっているが、「行動ファイナンス」という人間の金融行動を分析する学問によると、選択肢の数が多すぎると、無意識のうちに選択を先送りしてしまう傾向があると指摘されている。実際、アメリカのDCでは運用商品の数が増えるとDCへの加入率が減少するといった研究結果も出ている。これを踏まえ、企業年金部会では、運用商品数は10本以内にするのが望ましいとの案が国より提出されている。

これに加え、現在の平均18本から10本への移行を円滑に行うために、運用商品を除外するルールの簡略化も合わせて導入を検討している(労使の同意があれば除外可能)。企業にとっては、商品数を減らすための手続きが増えることに加え、運用商品を厳選しなければならなくなる。特に、運用商品の選定については、今以上に受託者責任が求められる可能性もあると思われる。

 

③    運用商品を選択しない人への対応
(デフォルト商品)

最後は、運用商品を選択しなかった人への対応である。通常は、何も指図を出さないDC加入者のお金は「デフォルト商品」に振り向けられるのだが、これまではデフォルト商品として預貯金等の元本確保型商品を設定している企業が大半なため、選択しなかった人のお金はほとんど預貯金等に預けられていることになる。

これの何が問題なのかと思う人もいるかもしれない。確かに日本の失われた20年のようにデフレ経済のもとでは、リスク資産の実績が芳しくなかったため、結果として元本確保型商品に預けておくのが正しい選択だったのかもしれないが、今後想定されるインフレ局面においては、元本確保型商品ではインフレについていけず、実質的な価値では目減りしてしまう可能性が高い。

しかも、企業のDCでは平均的に約2%の実績を上げないと、DCの元になっている退職一時金の水準を下回ってしまう制度設計となっている。公的年金の更なる削減が予想される中で、国は国民の老後資金が実質的に目減りしてしまう状況を看過できないと考え、このような提案をしているわけだ。

では、運用商品を選択しなかった人への対応として、具体的にどのような改革案が提示されているのだろうか? 現時点では、分散投資効果が見込まれる商品をデフォルト商品として設定することを努力義務とする案が提示されている。また、今までデフォルト商品の王道であった元本確保型商品は、加入から一定期間(注)のみOKとし、長期でそれらに預けたままとすることは不適切とする案も出ている。

(注) 現在のところ、一定期間としては1年が想定されている。


さらに分散投資効果が見込まれる商品の代表例としてライフサイクル投資が挙げられている。ライフサイクル投資が普及していない日本では唐突感があるかもしれないが、2012年に経済協力開発機構(OECD)がまとめたDCロードマップにおいて、「デフォルト商品の投資方針を確立すること」、「デフォルト商品にはライフサイクル投資が望ましい」と明示されているため、恐らくはこの影響を受けているものと推察される。

ライフサイクル投資の代表例はターゲット・イヤー・ファンドと呼ばれる商品となるが、この商品は、若いときにはリスクを取った運用を行い、年を取るのに合わせて債券の比率を増やすことで自動的に低リスク化していくため、引退直前なのにリスクが高い資産にしか投資していない、または何十年も運用期間が残されているのに元本確保型商品にしか投資していない、といった非効率性を回避できる。米国では、デフォルト商品の7割がターゲット・イヤー・ファンドとなっており、DC加入者の老後に向けた資産形成のコアとなっている。

この改革案のポイントは、デフォルト商品を単に「選択しなかった人が投資する商品」という消極的な位置づけから、デフォルト商品を「長期にわたり老後の資産形成を行うのに適した運用商品」とすることで、自分自身で資産配分や商品選択をするのに自信がない人やそれを煩わしいと感じている人にも活用を促す積極的な位置づけへと変化させている点だ。

これらの国の改革案を見ると、DCの在り方をグローバル型の方へ舵を切った、つまり「選択重視」から「結果重視」にシフトし、結果を残してもらうために、多くの人に資産運用をしてもらうための仕組みを設計していると言えるだろう。一方、資産運用が広く普及していない日本においては、大きな反論も出ている。次回は、代表的な反論とそれに対する私の見解を述べたいと思う。

(第2回に続く)
 


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