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教育資金はジュニアNISAで準備?それとも学資保険?② ~資産運用と保険の役割分担を考える~ (全2回)

 

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後藤 順一郎

株式・オルタナティブ部 ディレクター
DC・NISA推進室長 兼 AB未来総研ディレクター



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2015年3月13日

 

前回は、保険と資産運用の役割分担を整理した上で、老後資金や教育資金に対処するための「備え」と「蓄え」の組み合わせ方について説明した。教育資金については、事象の発生確率やその時期の予測可能性から「蓄える」ことになるが、幅広く用いられている学資保険は「蓄え」に「備え」も追加されているため、「蓄える」力が少し弱くなっているではないかと問題提起した。そこで今回は、「蓄える」力という観点から、学資保険を見ていくことにする。

 

学費の上昇 > インフレ

教育資金と言った場合、多くの人がイメージするのは、子供の大学の入学金や授業料ではないだろうか。したがって、教育資金の形成においては子供が生まれた時(もしくはまだ幼児の時)から、その子供が18歳や19歳になった時の大学の費用を事前に手当てするのが一般的な目的となる。当然ながら、この間に物価は年々変動し、それに伴い学費も年々変動するため、教育資金をあらかじめ準備する場合には、最低限、これらの変動に追随する必要がある。なぜなら追随できなかった場合、せっかく事前に準備してもその実質的な価値が下がってしまうからだ。つまり、教育資金の形成における運用目標は、学費の上昇に追随することにある。では、その目標である学費は、過去どのくらい上昇したのだろうか?

図表1は1970年末を100としたときの、消費者物価指数(総合)、国立大学授業料、そして私立大学授業料の伸びを示したものだ。2013年末の消費者物価指数(総合)は307なのに対し、私立大学授業料は959と3倍以上となっているが、より驚くべきは国立大学授業料で、4,651にもなっている。これは1960年代に私立大学授業料が先行して上がり、国立大学との差が看過できないものとなったため、国が国立大学授業料を値上げする方針としたことが大きく影響している。一方で、グラフをよく見ると、大きく価格が上昇しているのは、せいぜい1990年代までであり2000年以降はほぼ横ばいのように見える。そこで、2000年以降に絞ってみてみることにする。
 

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図表2を見てほしい。1999年末を100とした場合、2013年末の消費者物価指数(総合)は97と下がっている一方、国立大学授業料は112、私立大学は108と上昇している。つまり、デフレ環境下においても国立、私立ともに大学の授業料は上がっていたということだ。上昇率(年率)でみると、国立大学授業料は消費者物価指数(インフレ)よりも+1.07%、私立大学授業料は+0.84%と、1%程度高いペースで授業料が上昇していた。一般的に資産運用における第一の目標は、インフレに追随することと言われているが、教育資金を「蓄える」時には、インフレに対応するだけでは不十分であり、それよりも大きなリターンが必要となる(ちなみに、塾などの補習教育の費用についても1999年末を100とした場合、2013年末で107となっており、大学の授業料ほどではないが着々と上昇している)。

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インフレ時には、学資保険の「蓄える」力は十分ではない

では、学資保険の「蓄える」力はどうなのだろうか? 一般的と思われるシンプルな学資保険の商品設計をみると17歳まで毎月積立を行い、大学に入る18歳と就職する22歳で一時金を給付する設計となっている。この商品設計に基づき、2015年2月現在のとある商品のパンフレットに掲載されている保険料を使って利回り(内部収益率)を計算すると、約0.84%となった。この利回りは、奇しくも2000年以降の国立大学授業料の上昇率と等しく、仮に2000年代と同様の経済状況が将来も継続するのであれば、この学資保険の「蓄える」力で十分対応できることになる。しかも、学資保険には「備える」力もパッケージされているため、非常にお得感があるように見えるかもしれない。

一方、将来が過去と同様でないとしたらどうだろう? 日銀は現在、2015年度物価上昇を中央値で2.4%、2016年度の上昇を2.8%と見込んでいる。仮に将来2.4%のインフレが続くならば、大学授業料は約1%上乗せした3.4%程度の上昇が見込まれることになる。したがって、残念ながら、現時点で0.84%の利回りの学資保険では、この3.4%の伸びに追随することはできない。もちろん、インフレとなるかどうかの予測は困難であるが、だからこそ、インフレとある程度の連動性をもった「蓄え」方が必要となる。つまり、教育資金の形成の目的を学費の変動に追随すると定義すれば、学資保険の「蓄える」力だけでは十分ではなく、インフレに連動させ、かつそれを上回るリターンを狙う、つまり相応のリスクを取って資産運用をしなくてはならないということだ。

 

学資保険とジュニアNISAの組み合わせがソリューションになり得る

幸いなことに、2016年4月から教育資金を非課税で資産運用できる制度であるジュニアNISAが始まる。ジュニアNISAを利用すれば、最大20年間非課税の運用ができるのだ。これを機に、今まで学資保険のみで教育資金を形成していた人は、足りない「蓄える」力を補うためにも、ジュニアNISAの活用を検討しても良いのではないだろうか。

その際、大事な点は、学資保険とジュニアNISAを総合して考えることだ。ジュニアNISAの活用を考えようとすると、ジュニアNISA内「だけ」で最適なリスクテイク、資産配分を考えてしまう人が多いのではないだろうか(そして、多くの日本人は低リスクの運用になりがちである)。しかしながら、学資保険も活用している人であれば、保険会社が倒産せず中途解約されなければ、確実にその利回りを享受できるという安全資産をすでに持っていることになる。この場合、ジュニアNISAでは多少高いリスクを取って運用しても問題はないし、むしろ、それによって学費の変動に追随するという目的の実現可能性も高くなるだろう。学資保険を「守り」、ジュニアNISAを「攻め」と位置付けて、統合的に考えていくことが、効率的な教育資金の形成につながると考える。


 

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