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エマージング株式への投資家の懸念を考える

 

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大矢 卓司

株式・オルタナティブ部 
シニア・ポートフォリオ・マネジャー




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2015年4月6日

 

エマージング市場の株価は2014年12月に底打ちし、先進国市場との相対株価の悪化は止まったと思われたが、足元また不安定な状況にある。この背景として、投資家心理の改善を阻む幾つかの懸念材料がある。米国金融政策の変更、米ドル高、コモディティ価格の下落、不透明な収益見通し、地政学リスクなどである。しかし一方で、エマージング株式の長期的な成長性と割安感から、投資待機中の投資家は多いと思われる。そこで、個々の懸念材料について改めて考えてみたい。

まず、米国の過去の利上げ局面でエマージング株式はどのような影響を受けてきただろうか。1990年代から3回(1994年、1999年、2004年)の利上げ局面を振り返ると、年末にメキシコ危機があった1994年のように、インフレ対策の急ピッチの利上げや企業収益の低迷、ネガティブ・イベント等がない限り、株価トレンドは崩れていない。

米国景気の恩恵をエマージング諸国も受ける形で上昇を続けたと言える。今回予定されている米国の利上げは、景気が拡大する中での金融政策の正常化であり、慎重なペースで行われることを考えると、エマージング株式にとってマイナスとはならない可能性が高い(図表1)。


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米ドル高はどうだろう。過去において米ドル高はエマージング株式の相対株価(対先進国市場)にとって逆風となってきた。その理由は、米国への資金回帰、米ドル建て取引のコモディティ価格へのマイナス、エマージング諸国の米ドル建て債務の負担増などが考えられる。現在、金融政策の方向の違いを背景に米ドル高は急激に進行しすぎた感があるが、米ドル安の材料がないのも事実であり、注視が必要な材料である(図表2)。
 

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コモディティ価格も、エマージング株式インデックスの構成国に資源国が多く含まれているために、従来やはり大きな要因となってきた。しかし、インデックスに占める資源セクター(エネルギーと素材)のウェイトが10年前の25%から現在15%程度に低下していること、また資源安が逆にプラス要因となるアジア地域のウェイトが全体の50%台から70%弱にまで高まっていることから、コモディティ価格の影響は低下傾向にあると言える。現時点から価格がさらに大幅に下落し、投資家がリスクオフとならない限り、懸念材料とはならないだろう。

最後に、株価の方向性を決める最大要因である企業の収益動向を見てみたい。エマージング市場のEPS(一株当たり利益)成長率は2013年から2014年にかけて先進国市場に対し大きく劣後し、アンダーパフォーム要因となった。しかし、今後3年間の予想では先進国市場に比肩するEPS成長率が見込まれており、また景気先行指標もそれを示唆している。この点が崩れなければ、株価は回復のトレンドをたどると考えていいだろう(図表3)。
 

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以上、総合して見ると、相対株価の観点から米ドルの上昇には引き続き注視する必要があるものの、長期的かつ絶対株価の観点から、エマージング株式への投資を考えるべきタイミングにあるのではないだろうか。
 

 

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