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需要と供給が作り出す流動性危機

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ダグラス・ピーブルズ(写真)   
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
債券部門 最高投資責任者(CIO)兼ヘッド
 
アシッシュ・シャー 
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
グローバル・クレジット運用責任者
 

 

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2015年11月4日

 

投資家は、債券市場の流動性が干上がってきている原因が新しい銀行規制にあると考えている。しかし、この見解は、流動性低下の状況を悪化させており、さらには次なる金融危機をも招きかねないいくつかの市場の動向を見過ごしている。

確かに新しい銀行規制によって、銀行は損失に備えてより多くの資本を確保することが求められ、また自らの利益を目的とした取引が制限されるため、債券市場の流動性が低下する原因となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、ディーラーは2007年から2014年の間に社債の在庫を約75%削減した。それは、ちょうど社債の発行がほぼ倍増したタイミングであった。

結果的に、社債市場に限らず多くの債券市場で、大量の債券を大きな価格変動を伴わずに素早くかつ容易に売買することが難しくなってきている。巨大な米国債市場でさえも、世界金融危機以降、市場が約3倍の12兆6,000億米ドル規模に拡大しているにもかかわらず、売買回転率は低下してきている。

しかし、規制は流動性の「供給」に影響を与えているわけで、流動性低下のすべての原因ではない。その他のいくつかの要因が、流動性への「需要」が急増する可能性を高めている。これらの要因により世界中の投資家が同時に同じ行動を取るようになった。そのため、資産価格は歪められ、投資家は希望どおりに資産を売買できない可能性があると考えている。仮に乾燥した現在の市場で火事が発生した場合、以下の要因はすべてその火の勢いを強めるだろう。


一部の債券への人気の集中

最も重要で、そして最も分かりやすいのは、人気が集中している債券を避けるということである。一種類の債券への一極集中だけでなく、例えば米国ハイイールド債、新興国債券、レバレッジド・バンク・ローンなど、あらゆるセクターのうち話題になっている単一セクターへの投資の集中も含む。

一部の債券への投資の集中は、各国中央銀行の金融緩和策が直接的な原因となって生じている。金利が歴史的に低い水準に据え置かれているため、投資家はリスクがより高い資産に投資することで、ある程度のリターンを得ようとした。彼らが同じ種類の債券に駆け込んだため価格は大幅に押し上げられ、市場は混乱して急に調整局面へ入った。


大規模な投資家によるリスク低減

年金基金、保険会社、富裕層などの大規模な投資家は、あまり目立たない行動を取っている。彼らの多くは2008年の世界金融危機時に損失を被ったことで、リスク管理を重視した戦略を採り入れているのだ。しかし、こういった戦略ではボラティリティが事前に設定した水準より上昇した場合に証券を売却しなくてはならない。

これは、個人投資家にとっては理に叶っているかもしれない。しかし、大規模な投資家が同時にリスク管理を重視する戦略を採用すれば、流動性の低下を招く。ABの試算では、リスク管理を重視した保険商品に約3,000億米ドル、またリスク・パリティ商品に6,000億米ドルから1.8兆米ドルの資金が投じられたことになる。これらの商品では、株式、クレジット、コモディティなどのリスクの高い資産と国債などの安全資産に対して同様に特定のリスク基準を設定する(図表)。

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特にリスク・パリティ戦略は、債券と株式のリスク寄与度を均一にするためにレバレッジを利用して債券を購入することから、注意が必要である。これは、債券市場が下落した場合、運用マネジャーが追加証拠金の請求を一気に行うのにともなって、株式や他の資産も下落を強いられることになる。

リスク・パリティ戦略やその他のバリュー・アット・リスク戦略が主な原因となって生じた強制的な売却は、2013年のテーパリング(資産購入の段階的縮小)騒動の際に大きな要因となった。
 

クレジットにおける通貨ヘッジ

流動性への需要を高めるもう一つの原因として、世界中の投資家がグローバルのクレジット市場でより高い利回りを追い求めていることが挙げられる。こういった投資では投資家の自国通貨にヘッジするケースが多い。例えば、米国ハイイールド債を購入する欧州の投資家が米ドルの下落に備えたい場合、為替予約を用いることによって将来のある時点で事前に決められた為替レートで米ドルを売却することができる。

しかし、逆にユーロが下落したらどうだろう? その場合、投資家はポートフォリオ内の債券あるいは他の資産を売却してヘッジに関連する保証金を支払わざるを得なくなるかもしれない。こういったことは、ここ数年、債券市場と同様に為替市場もその動向を予想することが難しくなってきているため、非常に重要な問題である。価格が大幅に変動すれば、大人数の投資家が購入または売却を余儀なくされる可能性がある。

流動性が原因となって生じるボラティリティから身を守る方法はいくつかある。それは、幅広い種類の債券で分散を行うこと、人気が集中している債券を避けること、キャッシュとデリバティブを手元に十分確保することなどである。

また、投資家および運用マネジャーは、ポートフォリオを構築する前に、なぜ市場の流動性が枯渇してきているかをきちんと理解する必要がある。今後ボラティリティが上昇する可能性が高い中にあって、流動性の低下が抱えるリスクを無視するわけにはいかない。

 

 


当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。 
https://blog.abglobal.com/post/en/2015/09/the-liquidity-crunch-its-about-supply-and-demand

 

 

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもABポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2015年9月22日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 



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