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ヘルスケア銘柄の回復を占う4つの質問

                                                                                                                                                                     

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ヴィネイ・ターパー(写真)
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国成長株式運用
ポートフォリオ・マネジャー 兼 シニア・リサーチ・アナリスト
 
 
  
ライアン・オーデン
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
株式部門 リサーチ・アナリスト
 
 
 

2021年7月8日

 
 
ヘルスケア・セクターの株式は新型コロナウイルスのパンデミックから市場が回復する場面でリターンが低迷したことで、同セクターに対する懸念が高まっている。しかし、ヘルスケア・セクターには依然として成長の可能性を秘めた有望な銘柄が豊富にある。投資家がそうした銘柄を見つけ出す上で、4つの質問が役立つ可能性がある。
 
パンデミックが始まって以来、多くの投資家がヘルスケア・セクターに注目してきた。しかし、パンデミックに起因する暴落からの回復が始まった2020年4月以降、そして2021年初来ベースでも、世界のヘルスケア関連株は市場全体をアンダーパフォームしている(図表)。
 
ヘルスケア・セクターの株式はパンデミックからの回復局面を通じてアンダーパフォームしてきた.png
 
ヘルスケア・セクターはなぜアンダーパフォームしているのだろうか? 第一に、投資家がポストコロナの経済活動再開に向けたポジションを構築し、ヘルスケアなどディフェンシブなセクターから景気敏感なセクターにシフトしたことが響いた。第二に、収益性の低い中小型のバイオテック銘柄が2020年に乱高下しながらも力強い株価上昇を見せた後、2021年になって売りを浴びているためである。最後に、グロース株は金利低下の恩恵を受けることが多いが、金利が上昇した結果、ヘルスケア銘柄を含むグロース株全体の株価上昇が抑えられた。しかし、これらの傾向は、強固なビジネス基盤を有する革新的なヘルスケア企業の長期的な魅力を損なうものではない。次の質問は、ヘルスケア・セクターにおける魅力的な投資機会を見つけ出すための指針となり得る。
 

1. コロナワクチンの開発はヘルスケア業界にどんな変化をもたらしたのか?

コロナワクチンの開発に向けた過去に例のない取り組みは、ヘルスケア業界に2つの大きな影響をもたらした。まず、メッセンジャーRNA(mRNA)技術の成功により、医薬品メーカーにとって重要な武器が加わった。我々はパンデミックを通じ、この新たな技術を利用して非常に効果的なワクチンを迅速に開発できることを学んだ。それはどんな場合にも成功を収めるわけではないが、新型コロナウイルスと類似した特徴を持つインフルエンザのほか、マラリア、HIV、腫瘍などにも効果を発揮するワクチンを開発するため、mRNAを用いた新たな取り組みが期待できるだろう。
 
第二に、医薬品の開発が加速していることだ。コロナワクチンが緊急に必要となったことで、臨床試験のイノベーションが進み、それが今後幅広く活用されることになりそうだ。例えば、一部の臨床試験では参加者が検査のため病院を訪れる必要がなくなり、代わりに新たな技術を利用して遠隔地から被験者をモニターすることで、臨床試験のプロセスを分散させることが可能になるだろう。また、規制当局は官僚主義的な行動を排除し、プロセスを迅速化できることを示した。これら2つのトレンドを考慮すれば、医薬品開発を始めてから市場に投入するまでに要する期間を、現在の標準である7~10年から1~2年短縮できる可能性がある。
 

2. 米国バイデン政権の政策は米国のヘルスケア市場にどんな影響を与えるか?

米国大統領選挙でバイデン氏が当選して以来、ヘルスケア分野、特に薬価や医療保険について、新政権がどんな政策を講じる可能性があるかが大きな話題となってきた。だがこれまでのところ、バイデン政権がヘルスケア分野で大きな取り組みを進める兆しは見えない。民主党内ですら、米国の薬価と欧州の薬価を連動させるリファレンス・プライシングや、政府による薬価交渉を可能にする制度など、薬価を巡る大々的な改革には反対意見が強い。また、新興国のコスト負担を軽減するためにコロナワクチンの特許放棄を求める取り組みも行き詰まっている。それには国際的なコンセンサスが必要だが、ドイツはここにきて、特許放棄の提案に反対している。それらを全般的に見れば、バイデン政権下ではヘルスケア分野の政策に極端な変更はない模様で、投資家にとって政策リスクが低下しているとアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ではみている。
 

3. ESGに焦点を当てれば、ヘルスケア企業の独自のリスクや成長機会を把握できるか?

ヘルスケア企業を分析する上でESG(環境・社会・ガバナンス)要因を組み入れることは、株式投資家にとってますます重要性を増している。ヘルスケアは社会に大きな影響を与える産業であり、患者や地域社会に提供されるケアの価値に対する関心が高まっている。ケアの価値を改善できる企業はヘルスケア・システムに好ましい影響をもたらし、ヘルスケア・コストの上昇や政府による関与拡大に直面する時代においても成長が期待できるとABでは考えている。
 
ケアの価値は、サービスのコスト低下、患者が受ける恩恵の拡大、またはその両方を通じて改善することができる。ヘルスケアを住宅、年齢、地域社会、教育など、健康に大きな影響を与える社会的要因と結びつけることでも価値を測定することが可能になり、それによって有害な結果を減らすことができる。ABでは、患者に提供する価値を高めるために企業との対話を通じてエンゲージメントを行うことは、ヘルスケア・セクターに投資する際の効果的なESGフレームワークになると考える。
 
例えば、ユナイテッドヘルス・グループは価値に基づく成果を重視することで、1症例当たりの入院期間を40%短縮し、先天性心疾患に苦しむ患者の死亡率を41%引き下げた。また、費用と効果の透明性を高めるために同社が提供している評価システム(治療方法選択の前に負担費用及び治療法の効果・施設の評価等を比較検討できるアプリ)を利用した患者は、利用しなかった患者に比べて支払額が30%近く減少した。エドワーズライフサイエンスは、競合他社よりはるかに安価な心臓弁を製造しており、それが回復に要する期間を短縮し、人々の長生きにつながっている。これらの例は、患者の利益に焦点を当てた価値ベースのESGアプローチが、企業にとってより良いビジネス成果を生み出し、投資家のリターンを支え得ることを物語っている。
 

4. 投資家が注目すべきヘルスケアの最新トレンドは?

診断技術はヘルスケア分野の中でも注目される分野である。新型コロナウイルスのパンデミックは、精度の高い検査インフラがあればウイルスの拡散を防ぐことができたかもしれないことを教えてくれた。そのため、特に政府をはじめとする関係者は、予防的な診断技術の開発に力を入れると思われる。また、監視・追跡システムにも多大な投資が向かいそうだ。
 
医療を家庭に近づけるための取り組みも活発化している。人々がむやみに病院に行くのではなく、また早期に対処することができるほど、患者や社会にとって好ましい効果が生まれる。テクノロジーもより広範に活用されるようになりそうだ。例えば、リスクの高い患者を特定し、ケアの順序を決める上で役立てることができる。
 
データ分析も、革新的な方法よる成果の改善を目的として、より一般的に用いられるようになっている。例えば、データ分析は、外科医がスキル向上や、彼らの改善分野の把握に役立ち得る。
 
これらのトレンドは、株式投資家にとって大きな投資機会を生み出している。しかし、科学を盲信してはいけない。開発中の新薬や新たな技術は、それだけでは投資を成功に導く優れた指針にはならないとABは考えている。バランスシート、競争力、キャッシュフロー、収益性といったビジネスのファンダメンタルズに焦点を当てることが、急速に変化しつつあるパンデミック後の世界において、株式投資家に長期的なリターンをもたらす革新的なヘルスケア企業を見つけ出すための最善の方法であろう。
 
 
 
 

 

当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

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