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成長鈍化の今なぜ社債か?

                                                                                                                                                                     

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スーザン・ハットマン
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
クレジット・リサーチ ディレクター(投資適格債)
  

 

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ウィリアム・スミス
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国ハイイールド債券運用 ディレクター
 

 

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ロバート・ホッパー
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
クレジット・リサーチ及びマクロ分析 ディレクター
 

 

 
 
 

2022年6月24日

 
 
中央銀行が物価上昇圧力を抑制すべく利上げを進めるなか(以前の記事『インフレ率の上昇を債券投資はどうしのぐか』ご参照)、投資家の関心は急激なインフレから世界経済の成長減速に移りつつある。過去を振り返ると、成長が減速すると信用力は決まって急速に悪化する。ということはつまり、投資家は企業の相次ぐ格下げとデフォルトに備えるべきなのだろうか?アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)はそうは思わない。
 

今回は状況が(全く)異なる

はじめに、景気後退には陥らないとABでは予想する。中央銀行は経済を急激に悪化させることなくインフレを抑制するという難題を攻略できると考える(以前の記事『中央銀行は成長とインフレのジレンマに直面』ご参照)。次に、仮に景気後退に陥ったとしても、企業部門はうまく持ちこたえると予想する。
 
一般的に、急激な景気減速や景気後退は、企業にとっては悪いニュースである。信用状況のひっ迫と需要縮小を受けて、企業は十分な資金を安いコストで確保するのに苦労しかねない。そうした苦労は基本的に、景気が減速し始めた時点のその企業の信用力に左右される。つまり、その時点で既に財務状態が厳しい企業は、蛇口が閉まると資金繰りが悪化してたちまち問題を突き付けられることになるだろう。
 
しかし今日の社債発行体は、過去の景気後退突入時の発行体よりも財務の面ではるかに優れた状態にある。これは、新型コロナウイルス感染拡大(パンデミック)を巡る長期に及ぶ不確実性のおかげによるところもある。この不確実性の影響で企業はこの2年間、たとえ売上や収益が回復してもバランスシートと流動性を保守的に管理してきたのである。
 
その結果、ハイイールド債・投資適格債を問わず、欧米において負債比率やカバレッジ・レシオがフリーキャッシュフローや利益率と共に改善した。これらの指標を確認するためにABは、米国投資適格社債市場について詳しい「一定母集団」実績分析を実施した。なお、生存者バイアス(サバイバーシップバイアス)、構成の変動、その他のゆがみを排除するために発行体母集団に調整を加えた。
 
コロナ禍に突入する危機を迎えていた2020年初めと比較し、この12カ月で負債比率がどれだけ低下し、カバレッジ・レシオがどれだけ上昇したかを示す「一定母集団」を分析の結果として得た(図表1)。
 
 
バランスシートは今日の方がはるかに健全である.png
 
 
このようにバランスシートが相対的に健全であるため、成長と需要が減速するなかでも社債発行体はより強い圧力に耐えられる状態にある。
 

デフォルトと格下げの波は過ぎ去った

企業部門が嵐を切り抜けられる準備ができている理由は慎重な財務管理だけではない。パンデミックが引き起こしたデフォルトの波(2020年10月にはデフォルト率が6.3%にまで上昇した)により、企業部門は実質浄化された。当時ぜい弱だった企業は既にデフォルトに陥り、現在は投資対象から外れている。生き残った企業は強固な企業ばかりである。
 
それも2年足らず前の話であり、単純に言って、生き残った企業が財務的に不健康な習慣を身につけるには十分な時間が経過していない。したがって、仮に景気後退に陥ったとしても、2022年のデフォルト率は低水準を保ち、欧州は1%前後、米国は1%から2%になると予想する(図表2)。
 
 
ハイイールド債のデフォルトは過去の水準と比較して極めて低い.png

 
直近のデフォルトと格下げの波は、ハイイールド債市場の質も強くした。格付けの最も低かったハイイールド債の多くがデフォルトに陥り、ハイイールド債指数から除外されたのと同時に、格付けの最も低かった投資適格債の多くがフォーリン・エンジェルとなってハイイールド債市場に流れ込んだ。今日、ハイイールド債市場の質はこの10年余りで最も高い水準にある。
 
エネルギーや小売、通信など問題を抱えている多くの業界についても同じことが言え、これらの業界は直近の景気後退で浄化され、現在は質が改善したうえ、市場に占める割合も低下している。
 

M&Aリスクが落ち着いている

景気拡大期は、企業は合併・買収(M&A)に充てる資金を確保するために多くの借り入れを行ったり、株主還元を増やしたりする傾向がある。景気が下降に転じると、過剰債務や流動性不足に陥る企業が現れ、それらの企業は格下げやデフォルトの危険にさらされる。
 
しかし今日、M&A資金の確保を目的とした企業の借入意欲は低い。もっと言えば、格付けが損なわれることなく借入意欲が強まる可能性もある。
 
企業の借入意欲を測るために、ABは財務方針を「保守的」「中立的」「積極的」に分類した。ABの分析によると、財務方針は現在、投資適格債市場においては半分の業界が保守的で、残りの半分が中立的である。ハイイールド債市場についても、1つの業界、すなわちハイテクを除けばおおむね同じことが言える。ハイテクについては積極的に分類している。
 
全体としては、財務方針は向こう12カ月でより積極的になる公算が大きいが、ABによる信用格付見通しでは、投資適格発行体の半分以上を安定的と見ている。またABは、投資適格債市場とハイイールド債市場のいずれについても、ほぼすべての業界において信用力が改善する企業の数が悪化する企業の数を上回ると予想している。つまり足元の傾向が続くということである。2022年1-3月期中、格上げは3.3対1の比率で格下げの数を上回った。
 
こうした点により、多額の現金を保有するプライベート・エクイティ・ファンドがレバレッジド・バイアウトを進めることが妨げられることはないが、当面のところ、企業のファンダメンタルズに関する明るい見通しの方が、非戦略的な買い手を介した負債の再拡大リスクより優勢である。さらに、プライベートエクイティ投資が活発なところでも、債券市場の指標に対する影響は抑えられている。
 

迫りくる満期の壁の不在

さらに、企業はパンデミックの到来以降、満期までの滑走路(満期の到来時期)の延長に注力してきた。その結果、発行済債券の大部分が満期を迎え発行体がその時点の利率での新たな債務の調達を余儀なくされるという迫りくる満期の壁が存在しない。もっと言えば、2025年末までに満期を迎えるのは市場のわずか20%であり、大部分が2026年から2029年の間に満期を迎える予定である。
 
長い時間をかけて段階的に満期を迎えることで、利回り上昇による企業への影響は緩やかになるという点から、そうした状況は利回りの上昇に応じて圧力弁を開くというのに似ている(図表3)。今日、ハイイールド債市場における平均表面利率は5.7%の水準にあり、足元の最低利回り(期限前償還を考慮した利回り)を大きく下回る。仮に利回りが上昇を続け、今後4年にわたり高止まりすると仮定したとしても、満期までの滑走路が延長されているため、2026年1月まで平均表面利率はコロナ禍前の6%余りに戻らない。
 
 
満期が迫っている債務が限られており、表面利率の上昇圧力が抑えられている.png
 
 
言い換えれば、利回りが数年にわたり高止まりしたとしても、企業は今後長年にわたり低い表面利率を享受できる見通しである。
 

優れた兆候

要するに、景気が減速しようとしている時にこれほどまでにファンダメンタルズが強固なことは今までなかった。バランスシートは健全であり、フリーキャッシュフローは拡大傾向、利益も増加基調、企業は比較的保守的な財務方針を維持し、そして大半の発行体が満期までの滑走路を延長してきた。
 
同時に、わずか数カ月前と比較して今日のバリュエーションは遥かに魅力的な水準にある(以前の動画『High Time for High Income』(英語)ご参照)。利回りとスプレッドは数年ぶりの高水準にあり、例えば欧州の投資適格社債の平均利回りは、指数の半分がマイナス利回りだった2021年8月の時点よりも200ベーシス・ポイント以上高い。過去10年の水準に照らすと、米国投資適格社債の利回りはわずか4カ月で13パーセンタイルから99パーセンタイルの水準にまで上昇している。
 
また、ABの予想どおり利回りとスプレッドの変動が激しい状態が年内のあいだ続いたとしても、これまでの傾向によるとハイイールド債市場の最低利回りが向こう5年間の平均リターンの優れた指標になる(以前の記事『The One Metric All High-Yield Investors Should Know』(英語)ご参照)。これは同セクターの安定的で高いインカムゲインのおかげである。
 
最後に、異常に低い利回りを理由に資産配分における債券の比率を数年にわたり低めに保ってきた多くの投資家が今も様子見を続けている。強固なファンダメンタルズと大幅に上昇した利回りに引きつけられて投資家が戻るなか、そうした様子見の状態が影響して社債は需給主導の上昇相場に入る可能性がある。
 
ABの見立てでは、それらの投資家が殺到したとしても当然である。投資適格社債やハイイールド社債へ投資をするのにこれほどまでに絶好のタイミングは滅多にないだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。

 

 

 

本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。 
 
当資料は、2022年6月3日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。アライアンス・バーンスタイン及びABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
 
 

 

 
 
 
 

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