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著者
村上尚己Naoki Murakami
マーケット・ストラテジスト
外資系および国内系証券会社や日本経済研究センターなどシンクタンクにてエコノミストを歴任。経済予測分析や金融政策の分析に精通し、日経ヴェリタスやインスティテュショナル・インベスター誌のアナリスト・ランキングにおいて、エコノミスト部門にランキングされた経験を持つ。著書に「インフレ貧乏にならない資産防衛術」(東洋経済新報社)、「日本人はなぜ貧乏になったか?」(中経出版)、「円安大転換後の日本経済」(光文社)などがある。

Vol.46 通商摩擦で、米国の一人勝ちは続くのか

2018年08月14日

2018年は米国株の一人勝ちか

①世界の株価推移_201808.png

7月初旬に、米国が2,000億ドル規模の対中輸入関税引上げリストを発表、その後も更なる関税引上げが示唆され、8月には中国からの報復関税リストが発表された。

 

これらの関税引上げ発表が米国の金融市場に及ぼす影響は小さく、米国株の値動きは、企業決算などの個別の材料が影響する場面が多くなっており、個別の材料でナスダック指数が一時下落する場面もあった。

 

世界の株式市場では、米国の主要株価指数の年初から7月末時点までのリターンをみると米国株はプラスとなる一方、それ以外の多くの株価指数は年初来で横ばいあるいはマイナスとなっており、株式市場では「米国の一人勝ち」の様相が強まっている。 

 

村上コメント

米国株市場が他国をアウトパフォームしているのは、減税などにより経済成長率が高まり、米国企業の業績全体が伸びていることが最大の要因と考えます。
また、米国は新興国などと比べて輸出依存度が小さく、関税引上げによる経済への影響が相対的に小さいことも一因でしょう。米国株優位の構図は、当面続く可能性があります。

日銀の政策変更、緩和徹底と緩和軽減の組み合わせ

②ドル円と日本10年金利の推移_201808.png

7月31日に結果が判明した日銀の政策決定会合では、事前に報道されていたとおり、複数の政策変更が発表された。

 

まずは、現行の長短金利目標を長期間にわたり継続するとのフォワードガイダンス導入により「緩和徹底」が示された。

 

一方、長期金利の誘導水準、国債やETFの購入金額について、ある程度の変動が容認されるなど「緩和軽減」の政策も導入された。変更された政策が多いため、日銀の政策変更のメッセージは分かりづらいが、金利上昇容認で、直後に長期国債金利がやや上昇したことを除けば、為替・株式市場への影響は限定的にとどまっている。

 

「緩和徹底」、「緩和軽減」の折衷案となった今回の金融政策が、経済などに及ぼす影響はほぼ中立とみられる。

村上コメント

2019年の消費増税に伴うリスクと低金利のフォワードガイダンスが、緩やかながらも結びつけられた声明文となった背景には、金融緩和徹底にこだわるメンバーの見解が反映されたと推測しています。
今後フォワードガイダンス強化が検討されるかどうかに注目しています。

新興国売りが和らぐ兆し

③新興国債券スプレッド vs 新興国通貨_201808.png

6月まで新興国では、通貨が下落、ソブリン債券の信用スプレッドが拡大するなど、新興国売りが続いていたが、7月に信用スプレッドが縮小して、対米ドルでの通貨安にも歯止めがかかった。米国を中心とした株式市場の持ち直しで、リスク資産である新興国資産への売りが和らいだことが一因。

 

更に、新政権が誕生したメキシコにおいて、財政規律や中銀の独立性を重視するなど現実的な経済政策に対する言及があり、米国とのNAFTA交渉が進むとの期待も高まった。

 

6月中旬まで下落していた通貨ペソが上昇、そして、対外バランスなどが改善している他の中南米の通貨やソブリン債券もやや買い戻された。一方、中国人民元は緩やかに下落するなど、国別にみると依然売り脆弱な部分がまだ残っている。

 

投資信託を通じた資金フローは、7月から新興国債券については若干ながらも資金流入となっており、6月までの資金流出が和らぐ兆しがある。 

 

村上コメント

米中の通商摩擦への懸念から、人民元安や中国の株安が引き続き懸念材料なっています。
一方、中国では金融緩和政策が実現、財政政策を積極化する方針が示されました。当社エコノミストは、これらの景気刺激政策によって、2019年にかけて中国経済の安定は続くとみています。

 

経済のお天気予報

Vol44-Global-Map.png

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出所:アライアンス・バーンスタイン株式会社

 

         

 

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